バスケットボールにおける「インテンシティ」とは何かご存知でしょうか?
この記事では、「インテンシティ」が曖昧に使われていることを指摘し、「インテンシティ」が適切に使われている一例を紹介します。わたしは、この「インテンシティ」の考えを学んでから、ゲームの理解力が増したように思います。
本記事では、「インテンシティ」が適切に説明されている書籍を紹介し、その考えに従って、わたしの周囲を見回してみます。最後までご覧になれば、「インテンシティ」という語を導入してまで、説明したかったゲームの側面が見えてくることでしょう。
曖昧に使われる「インテンシティ」
いつの頃からか「インテンシティ」という単語が使われるようになりました。多くは、あたかもサーカー用語であるかのように使われています。しかし、未だに「インテンシティ」の定義が曖昧で、それなのに使われている。そんな状況を危惧している人たちがいます。
辞書的な解釈では意味が分からない
辞書的な意味は、次のような意味になりますが、この意味を知っていても、(サッカー解説者などの)発言の多くは意味不明になることでしょう。
1. (性質・感情・力・温度などの)強烈さ、激烈さ、熱烈さ、緊張
2. 強さ、強弱、強度、力、度(degree)
研究社新英和大辞典から一部を引用
ジェイ・マイクスの著作
わたしが「インテンシティ」に出会ったのは、90年代のことで、ジェイ・マイクス著「バスケットボールのメンタルトレーニング」です。本書の「第2部 技術を高めるメンタルトレーニング」には「第11章 インテンシティ」があります。「バスケットボールは常に集中が変化し、インテンシティのレベルも変化するゲームである。」で始まります。
とても興味深いので、できることなら、全文を転載したいところです。インテンシティを10段階のレベルで定義して、話を展開しています。大雑把に抜粋すると次のように定義しています。
レベル | 説明 |
9.5-10 | オフェンスに適さない |
9 | リバウンド、プレッシャーD、ディフェンスへの戻り、 速攻で走るコースを埋める |
8 | インサイドの力強い動き、カット、ヘルプディフェンス |
7 | ドリブル、動きながらのシュート |
4 | フリースロー |
1 | 瞑想 |
プレイヤーは適切なインテンシティ・レベルでプレイすること、つまり、インテンシティ・レベルをコントロールすることが大切であると説いています。そのためには、意識してインテンシティ・レベルをコントロールする練習が必要です。
自然なインテンシティ・レベル、コントロールするレベル
人は、それぞれ生まれもった落ち着くインテンシティ・レベル、自然に振る舞っているときのインテンシティ・レベルがあるから、そのことを意識してコントロールできるようにする必要があります。わたしは明らかに低いレベルに落ち着く傾向があります。
バイクが好きで、試合や練習会場の移動に利用していますが、安全運転のために、毎回インテンシティ・レベルを上げる必要を感じます。
チームメイトを観察しても、その人なりの自然なインテンシティ・レベルを強く感じます。技術はあるのに、フリースローが苦手な選手は間違いなく、そのときのインテンシティ・レベルが高過ぎるように見えます。
でも、リバウンダーやドリブラーがインテンシティ・レベルを下げるのは、とても難しい技術だと思います。
本書では、コーチについても言及し、コーチが試合前に叱咤激励して、選手のインテンシティ・レベルを上げることは害であると説いています。中高生のコーチに、よく見る光景です。
チームメイトへの働きかけ
若い頃に、チームメイトにインテンシティ・レベルのコントロールについて、諭させるように仕向けようとしましたが、まったく反応しませんでした。現在、シニアチームに働きかけたらどうなるのでしょう? 反応が得られるとは、決して思えませんが、その理由は思い付きません。
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