最近「花粉症の薬を保険適用外に」といった見出しで、医療費削減が話題になっています。
この記事は、医療費削減についての雑感です。
中途半端な体育
学校教育では、体育が盛り込まれています。小中高のみならず、大学でも行われていることをご存知ですよね?
わたしは、いわゆる理系の単科大学で体育の授業を受けましたが、体格や荒々しさの点で、きっと、総合大学よりこじんまりと落ち着いているのではないでしょうか。
それはともかく、大学での生活において、体育は邪魔でした。貧乏なので洗濯や空腹の元になる活動は避けたかったです。
しかし、ヒトが健康に人生を送るためには、体育で得た知識や経験が役に立つのではないでしょうか。多分、異論がある人は少ないと思います。
それなのに、有名な大企業でさえも体育(研修?)なんてほぼありませんよね? 不思議です。取り組みさえすれば、医療費削減につながると思うのです。
好きなものを飽きることなく食べて、カラダをほとんど使わずにいて、ストレスフルな生活を続ければ誰だって健康を害します。場合によっては、長期間の治療を必要とするような病気になるでしょう。
誰にだって分かる話です。直接に対処せずに「医療費を削減するために〜」と言われましても・・・
ジェネリック医薬品
ジェネリックを使えば、医療費削減につながると言いますが、そんな単純な話でしょうか?
「医薬品の特許は、有効成分そのものの『物質特許』や薬の製造過程に関わる『製剤特許』など様々です。最初に切れるのが『物質特許』で、多くのジェネリックはこの特許だけを真似して出されています。
ジェネリック医薬品に半数以上の医師が「不信感」 完全に同じ薬ではない から引用 赤字への変更は追記
『製剤特許』が切れるまでは成分と用量は先発品と同じでも、製剤法は同じではないのです。さらに薬は有効成分だけでなく、添加物も含まれます。剤形(錠剤、カプセル、粒状などの形)の違いで効果に差が出る可能性もあります」
つまり、ジェネリックと先発薬は「完全に同じ薬」ではない。
双方を治療で使用した場合に全く同じ効果が出るかどうかを検証した調査は存在しない。患者がジェネリックに切り替えたところ、発作の悪化や副作用の出現が報告された事例もあるという。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦氏は次のように語る。
「添加物や剤形が変わると、薬の溶け出す速度が変化したり、有効成分が分解されやすくなったりします。人によっては効きすぎたり効果が出にくかったりする。同じ料理を同じ材料、分量で作ったとしても、違う調味料が加われば異なるレシピとなり、味も変わるのと同じことです」
塗り薬の基材には、水溶性、油と水を混ぜた乳剤性、
塗り薬にもジェネリックあり から引用 赤字への変更は追記
そして油性の3種類があります。
有効成分が同じであるからと、安易にジェネリックに変えると、
思うような治療効果が得られないことがあります。
有効成分の他に、基材の役割が大きいのです。
飲み薬や点滴は、ジェネリックでも特に気がつきません。
しかし塗り薬のジェネリックはすぐに気がつきます。
いわゆる塗りごこちが全く違うのです。
主成分は同じでも、基剤が違うのがジェネリック医薬品。
塗り薬を扱う皮膚科の先生には、切実な問題です。
ジェネリックをあまり使わない先生も多くおられます。
塗り薬のジェネリックについては薬剤師に聞いてください。
大学で基材をしっかり学んでいるのは、薬剤師だけです。
医学部では、主成分のほうしか勉強していません。
「完全に同じでなくても、厚生省が認めているのだから、まずは試してみては?」という意見があります。
その考えに賛成しますが、あなたが今、効くことが分かっていて使ったことがある先発薬があって、大切な仕事/試験/試合が控えているとしたら、試してみますか? わたしは決して試しません。
オトナは、いつも何かしら大切なことが控えています。だとしたら、試す時期がありません。
ゾロ品は使わない
先発薬の特許が切れた後にゾロゾロ出てくる後発品(ゾロ品)ですが、ゾロ品を試してみる価値は、どこにあるのでしょうか?
オトナの事情が分からない私には、先発品を安くすることが医療費全体の削減になると思います。
ジェネリックは先発品と”同一”ではありません。ですから「質を落とさない薬剤費の抑制」の一番正当な方策は、「特許切れの先発品価格をジェネリックと同じ程度の価格にする」のはずです。
ジェネリックは「先発品と同じ薬」ではありません から引用
先発品は臨床試験も行われていますし、副作用情報も十分に揃っています。また、20年間の特許期間中に開発費の回収は終わっています。
そして、先発品メーカーにしてみても、ジェネリックメーカーにシェアを奪われるよりは、特許終了後は価格を安くしても売り上げと利益を上げた方が、新薬開発の研究費に回せる金額が多くなるのは間違いないでしょう。
調剤薬局が在庫を揃えるのに四苦八苦するほどの数多くの種類のジェネリックを製造するより、特許切れ先発品の薬価を下げることこそが、”同一”の薬品をみんなが安く利用できるベストの方法だと私は思います。
花粉症の薬を保険適用外に
「自己負担が増えて困ってしまう!」みたいな意見ばかりが目立ち、こっちが困ります。
医療費削減の話だったはずなのに、今は、医療費の付け替えの話に変わっていて、医療費全体では、まったく削減されません。
「うがい薬のみの処方の保険適用除外」が話題になったときの方が、もう少しマシな話に思えました。
うがい薬のみの処方の保険適用除外
「財務、厚生労働両省は24日、医師が処方する『うがい薬』について来年度以降、同時にほかの薬を処方しなければ公的医療保険の対象から外すことで合意したと発表した」(「毎日」)というものです。
うがい薬の安易な保険外しには疑問があります から引用
2013~14年頃の話です。
中川委員(日医副会長)は「まず諸会議での主張と、対する検討の方向性には文脈上非常に無理がある。そもそも『単にうがい薬のみを処方する場合』とはどんな場合か」と疑問を呈した。これに対し宇都宮医療課長は「うがい薬のみの処方という治療の場合はまさに考えにくい。おそらく予防的観点かと」と述べた。これについて中川委員は「それは逆で、風邪で受診した患者にうがい薬のみを処方するのは名医だと思う。それだけ高度な診察能力にも関わらず、そういったケースを保険の対象から除外するのは非常におかしな話。そもそもうがい薬は一つの例示に過ぎず、問題は市販品類似薬だ。OTC薬は医療用薬品の有効成分を半分から1/3以下に抑えている。(OTCが)こういう流れに使われるのであれば、医療用薬の安易なOTC化はこれ以上進めるべきではないという態度を取らざるをえない」と批判するとともに、医師会としてはTPPが皆保険制度を崩壊させるものであり、今回の提案はそのための「蟻の一穴である」と危険視し、反対を表明した。
うがい薬の安易な保険外しには疑問があります から引用
実際の医療現場を考慮せずに決めたの?と思わざるを得ない話です。
そして、この2014年に書かれた記事には、現在の状況・・・花粉症、湿布などに及ぶことが既に書かれているのでした。
特定の薬剤をターゲットにして、薬局で買った方が安い薬を単独で処方した場合は保険から外す、というルールができたなら、「漢方薬だけなら」「ビタミン剤だけなら」「湿布だけなら」と、無限に「保険外し」が広がっていくことになります。
うがい薬の安易な保険外しには疑問があります から引用
健康が大切
医療費削減よりも、国民の健康が大切な筈なのに、どうもそんな感じはしないのです。
私たちは国民皆保険制度崩壊の始まりにいます。なのに、あなたたちが話すことはお金のことばかり。よくもそんなことが言えますね(How dare you)
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