NBAファイナルは大詰めを迎えて、現在TOR(トロント・ラプターズ、Toronto Raptors)がGSW(ゴールデンステート・ウォリアーズ、Golden State Warriors)を3 – 2でリードしている状況です。
レギュラーシーズンは忙しくてあまり観れませんでしたが、プレイオフからはそこそこ、ファイナルは全試合を観ています。特に応援しているチームは無いので、とにかく試合を楽しんでいます。選手の表情も、タイムアウト中のベンチの様子も試合の一部だと思って観ています。
愚行から学ぶ
第3戦で起きたGSW共同オーナーの愚行(相手選手を小突いてののしった)が好ゲームに水を注したのには、とても呆れました。愚行の詳細は書いてありませんが、事件の詳細は下記のニュースをご覧ください。
こんなことが起きてしまったのなら、世界中の子どもたちのために「3連覇を目指して奮闘していたGSWは、共同オーナーの愚行から調子を崩して・・・」みたいな話が教訓として残ればいいと思っていたところ、NBAがすぐに声明を発表しました。
「チームを代表する者は、最高基準の行動を取るべきであり、ゴールデンステイト・ウォリアーズのマーク・スティーブンズ共同オーナーが昨夜の試合で見せた振る舞いは、このリーグでは到底受け入れられるものではありません。今回の件に関しては引き続き検証を続けますが、スティーブンズ氏がNBAの試合を観戦することは認められません」
カイル・ラウリーへの不適切な言動により、ウォリアーズ共同オーナーに1年間の出入り禁止と50万ドルの罰金処分 から引用
NBAの素早い行動には、いつも感心させられます。NBAの行動を受けて、世界中の子どもたちには「ノブレス・オブリージュ」という言葉を覚える機会にして欲しいです。
最近では、主に富裕層、有名人、権力者、高学歴者が「社会の模範となるように振る舞うべきだ」という社会的責任に関して用いられる。
Wikipedia から引用
愚行の呪い
ステフィン・カリーは超一流選手で、世界中で有名です。いまさら、説明不要でしょう。愚行があった第3戦では、ミスの少ないキャリアハイの得点でチームを牽引しましたが、(愚行の呪いで)敗戦しています。
ノブレス・オブリージュ
第5戦では、ケガから復帰で強行出場したKD(ケビン・ウェイン・デュラント)が再度ケガに見舞われました。このときのTORの選手の働きかけと、それに応じたファンこそ社会の模範となるような振る舞いだったでしょう。
KD負傷に湧き上がるファンをラプターズの選手たちがなだめると退場の際には拍手とチャントが起こり、DrakeがKDに慰めの言葉をかける場面も
ケビン・デュラントが NBA ファイナル第5戦で再び負傷した際に見せたラプターズ陣営の感動的なスポーツマンシップ から引用
GSWのGMによる記者会見も社会の模範となるような振る舞いでした。
マイヤーズGM: ケビンはアキレス腱の負傷だ。度合いは分からない。明日、MRI検査を受ける。彼は復帰まで4週間をメディカルチームと過ごし、複数の医者やMRI検査の診断を受けた。我々は、回復具合が良いと感じていた。
ケビン・デュラントはアキレス腱の負傷、ボブ・マイヤーズGMが明かす から引用
今夜の試合への出場には許可が下りていた。互いに決めたことで、責めるべき人はいないと思う。だが、この世界のことも知っているし、必要ならば私を責めればいい。バスケットボール運営部を率いているのは私だ。ケビン・デュラントはバスケットボールを愛しており、彼が復帰を望んでいたかを疑問視するのは間違っている。
カリーも出場していたにもかかわらず、KDについてロッカールームのそばまで行き、急いでベンチに戻りチームメイトを鼓舞しています。チームを代表する選手として、最高基準の行動をとっています。
カリーが怖い
第5戦では、多分、GSWファンも敗戦を覚悟したであろう試合終盤に・・・あっぱれ。
どんなにズレができて、カリーやトンプソン以外の選手がノーマークになったとしても、そこでシュートを打たずに2人にフィニッシュさせた。その期待に応え、トンプソンとカリーが連続で3ポイントシュートを沈めて、同点に追いつく。そして、残り57秒、トンプソンがレナードをシュートフェイクでかわし、落ち着いて3ポイントシュートを沈めて3点のリードを奪った。
『スプラッシュブラザーズ』のクラッチシュートで辛勝、生き延びたウォリアーズ から引用
カリーは、世界中の子どもたちにはもちろんのこと、わたしの周囲のオトナたちにも影響力があります。友人のシゲちゃん(仮名)は、毎朝歯を磨きながらカリーのシューティング動画を観ています。「違いますよ!シュートはそこから始まるのではなく、ここから始まるのです。カリーは・・・」などと指導してくれるとの噂です。
チームメイトのフルちゃん(仮名)は、練習着としてレプリカジャージを着ています。先日、チーム練習でフルちゃん(仮名)とマッチアップしたところ、ディフェンスの考えを逆手に取ったミラクルなパスを通すんじゃないかとか、ロング3ptを決めてくるんじゃないかとか、過敏に用心している自分に気が付きました。もう恐怖と言っていいレベルです。そこにいるのは、ただのフルちゃん(仮名)なのに。
NBAファイナルを熱心に観戦している弊害がこんなところに現れるとは。シーズン終了後しばらくは、影響が残りそうです。わたしは単純なバカではありませんので、これが行動主義心理学における仮説であることに気付いていますが、阻止する方法が分からないです。
“自由意志は錯覚であり、行動は遺伝と環境の両因子の組み合わせによって決定されていく”
Wikipedia から引用
つまり、今後しばらくは、フルちゃん(仮名)とマッチアップすると、超一流選手に対峙するほどの緊張を強いられます。そこにいるのは、ただのフルちゃん(仮名)なのに。
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