- レインウェアのスペック、耐水圧と透湿性能を見て、選ぶ判断基準になっていますか?
- バイクで使用するレインウェアの耐水圧は、どのくらい必要だと思いますか?
この記事では、レインウェアについて説明します。わたしはバイク乗車時に限り、レインウェアを着用するときがあります。バイクで求められるレインウェアの使用環境は、最も過酷な環境の一つでしょう。
この記事では、雨(天候)と耐水圧、バイク乗車時の耐水圧のみならず、必要なレインウェアのスペック、レインウェアの耐久性まで言及しています。
本記事を最後までご覧になり、あなたがレインウェアを選ぶ参考になりましたら幸いです。なお、本記事には個人的な感想が含まれますので、すべての方に当てはまるものではありません。
結論
高速道路を走行するバイクで着用するなら、耐水圧のスペックがなるべく高いモノが必要です。フードは無いか、取り外せるものに限ります。袖口はきちんと締まるもの。裾はライディング時のシューズ、または、レインブーツに合わせて、チェーンに巻き込まれることが無いようなものにすべきです。乗車時の姿勢をとったときに、背中がめくり上がらないものがいいでしょう。でも、十分な性能のものは、ほとんどありません。
原付であっても、耐水圧 20,000mm 以上のスペックが良いでしょう。
ランニング時のレインウェアは、トレイルランが参考になるでしょう。
理由
耐水圧
耐水圧のJIS規格について、試験方法を調べれば試験そのものは理解できますが、実際のところ具体的な意味は分からないでしょう。下記の指標ならば、具体的に想像できます。この指標は各所で目にすることが出来ると思いますが、「バイクウェア 防水機能について バイクウェアに必要な耐水圧は?」から引用しました。
天候 | 水圧 |
嵐 | 20,000 mm |
大雨 | 10,000 mm |
中程度の雨 | 2,000 mm |
通常程度の雨 | 1,000 mm |
小雨 | 300 mm |
だけれども、ここでの「水圧」は雨を静かに受けたときのモノです。実際には、レインウェアを着ていることで局所的にレインウェアが突っ張りますし(圧が掛かっているかのようになる)、座ったり、地面に膝をつくことで局所的に圧力が掛かります。
更に、ランニングであろうと、バイク乗車であろうと、移動すれば移動速度に応じた圧力が掛かります。高速道路を走行するバイクでは、台風を越える風が当たりますので、その考慮が必要です。走行で受ける風がそのままレインウェアに当たるわけではありませんが、細かい条件は無視しても相当な圧力がかかります。「バイクウェア 防水機能について バイクウェアに必要な耐水圧は?」で公開してくれている、速度と雨の関係から必要な耐水圧性能を下記に転記します。
速度 | 耐水圧(通常程度の雨) | 耐水圧(中程度の雨) |
40 km/h | 6,000 – 8,000 mm | 10,000 – 12,000 mm |
60 km/h | 11,000 – 13,000 mm | 20,000 – 22,000 mm |
80 km/h | 18,000 – 20,000 mm | 34,000 – 36,000 mm |
100 km/h | 27,000 – 29,000 mm | 52,000 – 54,000 mm |
普通では目にすることのできない耐水圧の性能が必要になります。下記の記事では、簡単な数学と物理で、雨の衝突における圧力計算を公開してくれています。
透湿性能
透湿性素材の開発が進み、GORE-TEX以外のものも見掛けるようになりました。GORE-TEXファブリックは多層構造で、服の内部の水蒸気を小さな孔から出し、外からの水は侵入しないようになっています。
1平方センチメートルに約14億個もの微細な孔(0.2ミクロン)を持つ、世界最高水準の防水透湿性素材(耐水圧50,000㎜以上、透湿性25,000〜98,000g/㎡・24hrs JIS L-1099B-1法・参考値)(※1)です。超耐久撥水性も実現しています。
(途中省略)
※1 同じ防水透湿性素材でも、表地と裏地の組み合わせにより耐水圧・透湿性の性能が異なります。
モンベル | オンラインショップ | GORE-TEX ゴアテックス から引用
だけれども、構造上、もの凄い圧力を掛ければ、外から水が入ってきます。高速道路でシッカリ降っている雨の中を、バイクで疾走すれば、透湿性素材を使っているレインウェアでは、水分が染み込んでくるかもしれません。スペック上は染み込んできます。
レインウェアの耐久性
「一生もの」にはならない!
革ジャンや、バイクの革つなぎは、大切に手入れすれば、長い間使えます。すべての革ジャンが「一生もの」にはならないかもしれないですが、手入れや修理を怠らなければ長い間使えます。特に、牛革は馴染むのに時間が掛かりますが、丈夫で長持ちです。
一方、レインウェアを「一生もの」にするのはムリがあるでしょう。どんなに大切に使っていても、寿命があります。いずれどこかから雨水が染み出してきます。修理できる場合もありますが、革ジャンのようには使えません。そもそも生地がそこまで長持ちしないでしょう。
数年での買い替えを想定して、製品を選ぶのが良いと思います。それに技術が進歩しますので、より快適な性能のものが登場します。
構造が複雑なものは、壊れやすい
耐水圧の性能を維持するためには、生地が性能を満たしているばかりでなく、縫い目やファスナーにもその性能が求められます。GORE-TEXの認定試験では、製品を人形に着せて製品としての防水性がテストされます。つまり、見慣れた「GORE-TEX」のタグは「GORE-TEXファブリックを使用している製品」に付いているのではなく、「GORE-TEXファブリックを使用して加工された製品が防水性の試験にパス」した証なのです。
しかし、どんなに良い性能であっても、いつかはどこかが破れたり、縫い目やファスナーなどが傷んできます。
穴があく場合もありますが、使用していて、水が浸入してくるのなら、縫い目の防水テープ(シームテープ)が破損しているのかもしれません。下記の記事ではシームテープでの補修が丁寧に解説されています。
止水ファスナーは防水ではない
止水ファスナーが安価になってきて、カバンなどを中心に使われています。突然の雨がカバンにかかっても、そこそこ防水機能を発揮してくれて、とても助かっています。
しかし、止水ファスナーの防水性能は、レインウェアにおける防水性能とはならないでしょう。雨水が直接当たることを防ぐ工夫なしに、止水ファスナーで防水性を確保しようとしてもムリだと思います。フラップの類いで、上手く雨水を避ける構造が付いているのなら、レインウェアの止水ファスナーは便利でしょう。
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