学校での心拍トレーニングの実験結果は大人にはクレイジー?

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評判の「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」について、大雑把に言えば「運動習慣のある中高年が、本書で提案されている運動量と頻度を守ろうとすると、運動強度が高過ぎてオーバーワークになる」と思います。


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脳を鍛えるには運動しかない

本書では最大心拍数の定義を「220 – 年齢」としていますが、そもそもこれが大きな間違いだと思います。若い人には誤差が少ないですが、「運動習慣のある中高年」にとっては誤差が大きくなります。

仮にわたしが、この本の心拍数の通りに従うと、楽にこなせる運動になってしまいます。ウォーキング、ジョギング、ランニングなどの記述に従うと量と頻度が多過ぎて、オーバーワークになることでしょう。

「220 – 年齢」の誤差が大きいであろうことは既に書きました。

本書では、肥満の若者に対してのジョギングが「強度が高過ぎる」としていますが、本書の心拍数を鵜呑みにすると「運動習慣のある中高年」にとって「強度が軽過ぎる」ように感じます。

運動の提案

運動強度

本書では運動強度を下記のように三つに分けて定義して、その後の説明で利用しています。

運動強度心拍数
低強度の運動(ウォーキング)最大心拍数の55%から65%
中強度の運動(ジョギング)最大心拍数の65%から75%
高強度の運動(ランニング)最大心拍数の75%から90%

例えば「運動習慣のある中高年」にとって、ウォーキングをしてもこんなに心拍数が上がらないでしょう。

ここで、心拍トレーニングの式を持ち出して、ウォーキング、ジョギング、ランニングの運動強度を定義し直す手もあります。しかし、そのような厳密な解釈をするのではなく、本書の心拍数を気にせず、ウォーキング、ジョギング、ランニングで解釈しても良いのではないかと思います。

運動強度を定義し直すのなら、下記が参考になると思います。

運動習慣のない人への提案

週に4日、30分から1時間、最大心拍数の60〜65%で運動する。そうすれば体内の脂肪を燃焼し、これまでに述べてきた脳構造の変化に必要な成分をすべて作り出すことができる。ウォーキングが最適だが、友人と一緒に戸外でできればなおよい。どんな運動を選ぶにしても長く楽しめるものにしおう。それに加えて、週に2日は、少しペースを上げて(最大心拍数の70から75%)、20分から30分運動しよう。これまで運動しなかった人でも、このペースなら挑戦してみたくなるだろう。

「第九章 加齢 賢く老いる」から引用

大雑把に言い換えると下記のようになるでしょう。これは運動習慣のある中高年が楽にこなせる、運動メニューに感じます。

週に4日程度、2〜4km程度ウォーキングを行う。週に2日程度、20分〜30分程度ジョギングを行う。

公の機関の提言

公の機関による提言は、少なくとも週に5日、中強度の有酸素運動を30分するのが望ましいとしている。だがそれでは控え目過ぎるだろう。

「第十章 鍛錬 脳を作る」から引用

週に5 日、ジョギングを30分もするのは多過ぎるように思います。ジョギングするために出掛けているのが30分程度ならまだしも。それでも、週に5日というのは多過ぎるように感じます。

運動習慣のある中高年にとっては、運動頻度が多過ぎるように感じます。

時間も少し長過ぎるように思います。提言にはウォーミングアップとクールダウンは含まれていませんが、ウォーミングアップとクールダウンを足したら、費やす時間が長過ぎて、現実的なものではなくなってしまいます。

しかし、ジョギングだけしかしない人がもしもいるのなら、これに近いもの(頻度と時間を調整)でも良いのかもしれません。

理想の提案

週に6日、なんらかの有酸素運動を45分から1時間するというのが理想だろう。そのうちの4日は中強度で長めにやり、あとの2日は高強度で短めにする。

「第十章 鍛錬 脳を作る」から引用

日本における、学校のクラブ活動に近い提案ではないでしょうか。ウォーミングアップとクールダウンの時間を加えれば、さらにクラブ活動に近づくと思います。

歳をとって感じるのは、高強度の運動は間違いなく必要だと思いますが、量も頻度も落とさないと回復しなくなります。高強度の運動については、心拍数以外の定義が欲しいです。高強度の運動メニューは時間で定義しない方が良いと思っています。

ご参考

本書を読まずに、そのエッセンスは知るには下記の記事が良いと思います。

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