
- 暑い夏の日のスポーツであっても、暑さに負けずに力を発揮したいと思っていませんか?
- トレーニングを積んで、どんなに暑くても本来の力を発揮したいと考えていませんか?
でも… それは無理なのです!
暑さには負けます。すぐそこに限界があるのです。それでもやれることはあります。
このページでは、暑さに対する人間の限界を説明し、暑さに対処するための方法を説明します。
暑熱馴化(しょねつじゅんか)させて、暑い中でもそれなりにパフォーマンスを発揮できることを期待します。
最後までご覧になり、あなたの参考になりましたら幸いです。
くれぐれも無理をせずに、暑い季節も好きなスポーツを楽しんでいただければと思います。
はじめに
関東では、真夏でもバスケットボールの大会が開催されます。
バスケットボールの起源は、冬季の運動不足解消にあります。それなのに、蒸し暑い室内で無理するのは皮肉に感じます。
埼玉の冷房のない体育館で、夏にバスケットボールをするのは愚行ではないだろうか。
ところで、真夏のスポーツでは、ビッグマンの方がバテている印象がありませんか?
それには理由があります。ビッグマンは暑さには不利なのです。
暑さに向かないビッグマン
”ベルクマンの規則”をご存知ですか?
ビッグな動物の方が寒冷地に適応している、という話です。
同種の定温動物において,寒冷地に生活するものは温暖地のものより体が大きい,また近縁の異種間において寒冷地にはより大きな種が分布するという説。ドイツの動物学者 C.ベルクマンが唱えた (1847) もので,これは体重に対する体表面積の割合を減じて,寒地で熱放散を少くするという適応的意味をもつと説明されている。
ベルクマンの規則 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
体が大きいと体重に占める体表面積の割合が小さくなるので、熱を放出しにくくなるのです。
暑さに有利な体型
寒冷地とは逆に、暑い環境においては、体重に占める体表面積の割合が大きいほど、冷却効果が高くなり有利になります。
単純には、体が小さい方が有利です。
また、筋肉は発熱量が多いので、筋量が多くなればなるほど暑さには不利になります。
脂肪は断熱材として働きますので、皮下脂肪は薄い方が有利です。
手足が長いこと、耳が大きいことも暑さには有利に働きます。これはアレンの規則です。
寒い地方に生活する定温動物ほど耳,翼,脚,吻,尾などの体の末端部が小さくなるという法則で,ウサギの耳などで実例が知られている。これは体表面積をできるだけ小さくすることにより,体温の発散を防ぐ適応であると説明されている。アメリカの動物学者 J. A.アレンが 1877年に唱えた。
アレンの規則 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
体が小さく筋肉が少なめで、皮下脂肪が薄く手足が長いと、体重に占める体表面積の割合が大きくなるので、熱を放出しやすくなるのです。
人間の限界
深部体温が40度に近づけば、誰でも疲労困憊な状態になり運動を継続できなくなります。
運動開始時の深部体温にかかわらず、深部体温が40度程度にまで上がると、限界に達する
真夏に深部体温を下げる「アイススラリー」って?…コンディショニング研究会報告 から引用
「深部体温が40度程度にまで上がると限界に達する」のです。常識になっているほど再実験で確認されているでしょう。
「過酷な環境」などと安易に表現するものではないと思います。
スポーツをしてはいけない「無茶な環境」です。
限界を遠ざける
「深部体温が40度程度にまで上がると限界に達する」のならば、深部体温をコントロールして、深部体温がなるべく上がらないようにすることで、運動継続時間を長くすることが見込めます。
深部体温のコントロールについて、次のことが考えられるでしょう。
- 運動開始時の深部体温をなるべく抑える
- 深部体温がなるべく上がらないようにする
- 運動中に深部体温を下げる
カラダを積極的に冷やすテクニックと、暑い中でもある程度活動できる体づくり(暑熱馴化のトレーニング)がカギになります。
カラダを冷やす
冷たいもの、氷やドリンクでカラダを冷やすことは、誰でも思い付きます。
出場時間を細切れにして、休んでいるときに積極的にカラダを冷やせます。
ただし、調子が出るまでに時間がかかるチームやプレイヤーは不利は、短い時間に活躍できるように改善しなければなりません。
クーラーボックスや、氷のう等を用意する必要があります。
使い終わったら折りたためます。
折りたたんだまま出かけて、現地で氷やドリンクを調達するのも可。
10L程度のサイズをオススメします。
冷却材、ドリンクに加えて、氷のうをそのまま入れることができます。
サイズと丈夫さが違います。
ソフトクーラーボックスや氷のうは、とても安価な商品があります。
性能を考えるとメーカー品が無難だと思います。
効率よくカラダを内側から冷やす
冷たいものを飲んでカラダを冷やす方法は、カラダの内側から冷やせるので効果的です。
アイススラリーを摂取すると、融解熱によって効率よくカラダを冷やすことができます。
氷は解けるとき、融解熱の作用で高い冷却効果があります。
アイススラリーを摂取することで、深部体温が上がらないようにする実験が行われています。
効率よくカラダを冷やすことができますが、アイススラリーは冷た過ぎて、たくさん摂取できるものではありません。ドリンクも併用する必要があります。
気化熱による冷却(汗による冷却)
カラダは汗をかくことで体温を下げようとします。ていねいに説明すると、皮膚の汗が蒸発するときに気化熱を奪うので冷やされます。
皮膚の汗が蒸発するためには、ダラダラと流れる汗ではなく、皮膚がしっとりする程度の汗が望ましいです。
汗は、蒸し暑い環境(湿度が高いほど環境)だと蒸発しにくくなります。
ウェアによっても汗の蒸発は変わります。インナーウェアは夏用の方が、カラダを冷やす効果を実感します。
トレーニング(暑熱馴化)
「暑熱順化で暑さに強い体を作る | CramerJapan」ではトレーニングではなく、普段の生活を少し変えることで暑熱順化する方法を説明しています。リンク先には、以下の3点についての説明があります。
- 冷房に頼らない生活を心がける
- 入浴
- 有酸素運動
暑さにある程度慣れたら、スポーツでパフォーマンスを発揮させるために、さらにトレーニングできます。
ヒート・トレーニング
暑い中でトレーニングを積めば、血流量が増えて冷却効果が上がるそうです。
ただし、継続して鍛錬しないと効果は持続しません。
アメリカ陸軍が開発した、「暑さに順応するトレーニング計画案」は、暑さに慣れたい人にとっての良い手引きです。この計画案によると、毎日最低でも2時間は外で活動し、その一環として、心血管運動(ランニングやサイクリングなど、心拍数が上がるエクササイズなら何でも)を行わなければなりません。
暑さに負けずトレーニングをしたほうがいい理由 | ライフハッカー[日本版] から引用
2週間ほど経てば、暑さに慣れてくるでしょう。(途中省略)
また、暑さへの耐性をキープするためには、引き続き暑い環境下でトレーニングを積まなければなりません。数日なら休んでも構いませんが、1週間サボったら、暑さに耐える驚異的なスーパーパワーが失われ始めます。陸軍の推算では、3週間サボるとスーパーパワーの75%が失われてしまうそうです。
おわりに
暑さに打ち勝ってパフォーマンスを発揮する方法について、人間の限界、カラダの冷やし方、トレーニング方法を説明いたしました。
いかがでしたでしょうか?
無理して苦しいトレーニングを積んでも、暑さに対しては、すぐそこに限界があります。
個人のトレーニングに目を向ければ、夏に筋量を増やすのは賢く無いことが分かります。
プロ選手が夏のオフシーズンに肉体改造するので、うっかり真似をしてはいけません。
暑いシーズンのためには、小さくなのはムリですが、ムダな筋肉は落とした方が有利になります。
体調を崩すことなく、暑さに対処する参考になりましたら幸いです。
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