スポーツのプレイや、楽器の演奏を上達させるためには、がむしゃらに練習してもムダだと分かっているけど、では、どのように訓練すればいいか、迷うことはありませんか?
単純な話ではないので、「このように訓練すればOK!」みたいな答えはありませんが、適切なタイミングで、徹底して繰り返し練習する必要があることが分かっています。もっと、控えめに言えば、「熟練の技を手に入れるために、どのように訓練するか?」を考えるためのヒントが提示できます。
熟練の技とは、次のようなことを想定しています。
- 新しいスポーツ(動き)を身に付け、上達する
- 初めての楽器の演奏を身に付け、上達する
わたしは、これから紹介する「訓練のガイドライン」を考慮することで、新しい動きを身に付けやすくなりました。もちろん、個人的な感想に過ぎませんので、すべての人にあてはまるものではありません。
本記事では、運動学習における、二つの学習過程を説明し、訓練のガイドラインを紹介します。
本記事を最後までご覧になれば、がむしゃらに練習するのではなく、どうするか?を考えるヒントが得られるでしょう。
運動学習
ピアニストが突然の病で、右手の機能を一時的に失いました。その後、右手の機能は戻りましたが、演奏技術は失われたので、再び、演奏技術を身に付けるためにトレーニングに励みます。そんな状況を想定して、これまで二つの記事を書きました。
新しいスポーツに取り組むときや、初めての楽器の演奏を始めるときの参考にもなると思います。
いつから「調子の良いときほど、徹底して繰り返し練習する」?
習得には二つの学習過程があるのは、理解しています。
- 「意識して正しい動作を身に付ける」過程
- 「意識せずに正しい動作を行える」過程
しかし、この二つの過程は、きれいに分かれるのでしょうか?わたしが、バスケットボールの新しいムーブを身に付ける過程を思い起こしても、二つの過程はきれいに分かれません。
「意識せずに正しい動作を行える」過程になっているのに、練習中、正しくない動作になっているのに、ムキになって練習する(正しくない動作を繰り返し行う)・・・これが間違った練習であることは、十分に理解しています。
「調子の良いときほど、徹底して繰り返し練習する」のが正しいアプローチです。既に記事に書きました。
一方、まだ「意識して正しい動作を身に付ける」過程であったのなら、正しくない動作であっても、正しく動作できるように、練習を続ける必要があると思います。
つまり、どちらの学習過程なのかが分からなければ、どうして良いか分からない、いつ「調子の良いときほど、徹底して繰り返し練習する」に移行して良いか分からない、という問題があります。
次の「訓練のガイドライン」は、一つの解であると思います。
訓練のガイドライン
ラニー・バッシャム著「メンタル・マネージメント―勝つことの秘訣」の第7章には、「訓練のガイドライン」が記載されています。本書で使われる「下意識」は「意識せずに正しい動作を行える」の「意識せずに」とほぼ同じです。
第1章 勝ち負けは問題ではない?―メンタル・マネージメントとは何か
第2章 勝者はなぜ勝つか
第3章 勝つことに導く要因は何か―意識、下意識、セルフ・イメージとは?
第4章 勝つことの秘訣―トライアード状態をめざして
第5章 「意識」の輪を大きくする
第6章 リハーサル―一番よく使われる精神的道具
第7章 「下意識」の輪を大きくする
第8章 「セルフ・イメージ」の輪を大きくする
「訓練のガイドライン」に従えば、二つの学習過程のどちらにあるか?を気にせずに取り組めそうです。「訓練のガイドライン」には六つのガイドラインが示されています。一つだけ抜粋します。
訓練のガイドライン3 補強の原則
補強の原則とは「自分のしくじったところにこだわるな。うまくいったところにこだわれ」ということです。
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ラニー・バッシャム著「メンタル・マネージメント―勝つことの秘訣」 から引用
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