神話のウソ「コアを鍛えるためには、ドローイン!」

双葉山

この記事では、次のことを説明しています。

  • ドローインは「コアの強化」トレーニングの一部に過ぎないこと
    • ドローインは腹横筋を使えるようにするトレーニング
  • 「ドローインでお腹をへこませた状態」は安定した体幹ではないこと
    • 「腹部が硬くても」動作における安定とはならない
    • 「ドローインでお腹をへこませた状態」は重心が高くなってしまう

現状を危惧している専門家の言葉を借りて、説明します。

ドローイン

もしも、「ドローイン」「ドローイング」と呼ばれるエクササイズをご存知なければ、下記の動画をご覧ください。

ドローイン/腹横筋/体幹トレーニング実践講座

このエクササイズを全否定するわけではありません。しかし、誤解によって流行り過ぎているエクササイズです。ドローイングできることは、必要な機能かもしれませんが、トレーニングとして頻繁に繰り返すものではないでしょう。

「ドローイン」という呼び名

日本での呼び名が少々おかしいのは良くあることです。

下腹部をへこませて、腹横筋を収縮させる「ドローイン」の英語は、「Drawing in」です。英語読みだと「ドローイング・イン」です。ネットをいろいろと調べてみると、「ドローイン」、「ドローイング」と呼ばれています。さらに、英語では、「Drawing in」の他に「Hollowing」とも呼ばれているので、ややこしいです

「ドローイン」と「ブレーシング」の使い分け から引用

流行り過ぎた背景

1.Paul Hodgesなどの研究により、脊柱・腰椎支持における腹横筋の重要性(関節の支持、腰痛のある患者において腹横筋 が萎縮している)が発見される。
2.さらにドローインによって腹横筋が効果的にトレーニングできることが明らかになる。
3.「筋萎縮=筋力低下=筋力向上の必要性=トレーニング」ということで、次々とトレーニング・リハビリに取り入れられる。
4.ドローインは腰回りを締める(腰のくびれ)という、外見がよくなるということでさらにその利用に拍車がかかる。

(途中省略)

「腹横筋の機能障害は、「筋力」の問題ではなく「タイミング」つまり「運動制御」の問題」だということです。今では当たり前となっている「運動制御」が筋機能(筋力や筋の伸張性)を支配していて、エクササイズの目的は単純な筋力や柔軟性の向上ではなく、「運動制御」に介入しているという感覚が低かったことが原因の一つにあると思います。

「ユーザーがその後にでてきた情報を取り入れ続けなかった」
「ドローイン=腹横筋=体幹の安定(=腰のくびれ/ダイエット)」、さらに「The more, the better(やればやるほどいい)」という考え方で、ドローインはすっかり現場で定着し、ウェイトトレーニングや日常生活の最中もドローインをするようにもなりました。

ドローインがやたらと注目されて、いまだに適切に使われていない理由 から引用

ドローインは危険

Stuart McGillが「ドローインは危険なので決して行なわないでください」と言います。日常生活やトレーニングの最中には腹横筋を含めて他の筋との共収縮によって体幹が支持されるので、共収縮を促すブレーシングが適切だと説明します。さらに、ドローインによってくびれた(直径が小さい)体幹は、ブレーシングによってしっかりとした(直径の大きい)体幹に比べて曲がりやすいと物理的な説明を加えます。確かにまっすぐの棒より、くびれた棒を折る(曲げる)方が簡単です

ドローインがやたらと注目されて、いまだに適切に使われていない理由 から引用

Stuart McGillの著作物は、トレーニング・リハビリを仕事にしている方は、必ず読むべきだと思います。「腰痛」と題されているので、「腰(腰椎)」のリハビリ専門のものだと思われますが、研究結果を基にトレーニングを含めて実践的なアプローチを紹介してます。
「Spine Sparing(スパイン・スペアリング)」は脊柱を保護する、という考え方で、彼のアプローチの根幹になっています。単純に説明すると、肩関節と股関節をできるだけ動かして、脊柱からの動きを最小限にするという考え方です(詳しくは彼の著作物を参照してください)。スパイン・スペアリングにおいて重要なのは、「Bracing(ブレーシング)」です。お腹のまわり360度に力を入れ、腹部のすべての筋を共収縮させて腰椎を安定させるというものです。

Stuart McGill(ステュアート・マクギル) から引用 赤は追記

Bracing(ブレーシング)

体幹の安定のためには、ブレーシングが有効です。

ブレーシング

前述のドローイン動画がチャンネル登録7.2万、再生約130万回なのに、この動画はチャンネル登録150、再生2,300回。一例に過ぎませんが「ブレーシング」は、明らかに興味の対象から外れています。とても残念で、危険なことだと思います。

下丹田の形成

双葉山がどうして強烈な「下丹田」を作っているのか?
それは横隔膜を強烈に収縮させて、横隔膜を限界まで下げているからです。
横隔膜は収縮すると下に下がりますね。
横隔膜が下がることで内臓の位置が下がり重心も下がり安定性が増します。

そして、横隔膜が下がることで腹部に上から圧力がかかり腹圧が上がるのです。
横隔膜はその時に遠心性の収縮で横隔膜による圧力を逃さないようにしているのです。


(途中省略)

先に「ドローイン」でお腹を凹ませてしまうと横隔膜は抑制されてしまって腹圧は上がりません。

コアを鍛えるならドローインはしちゃいけない!! から引用

横隔膜のトレーニング

横隔膜のトレーニングはとても難しいと感じています。そもそも呼吸により動いてしまいますし、横隔膜が身体の内部に隠れているので、動きが確認しづらいことに加えて、横隔膜の動きにより内蔵が上下して骨盤底にまで影響がでるからです。さらに、大腰筋との連結もあるらしいです。

丹田の形成が難しい一面が理解できた気がします。

以降では、横隔膜のトレーニングに関する動画を紹介します。やさしく感じられたものから掲載しています。

呼吸だけに着目したトレーニング

横隔膜の動きだけに集中する、横隔膜を柔軟に動かすトレーニングです。肩などを無用に動かさないための工夫が面白いです。

横隔膜のトレーニング

大腰筋を意識した、横隔膜のストレッチ

身体を捻った着座で姿勢により、大腰筋の関与を分かりやすくして、呼吸による横隔膜のストレッチをおこなう方法です。

体幹インナーマッスルトレーニング横隔膜!横隔膜ストレッチ!理学療法士監修!

横隔膜の上下による内蔵の移動

この動画では、ストレッチやトレーニングの説明はありません。横隔膜が動くことで内蔵にどのような影響があるか、骨盤底にどのようなストレスが掛かるかの説明です。

呼吸:横隔膜と内臓と骨盤底の繋がり

呼吸による横隔膜と骨盤底筋群のトレーニング

胸式呼吸、腹式呼吸と順を追って、横隔膜のトレーニングを説明してくれます。横隔膜の状態を定めて(ブレーシングで腹圧を保って)、骨盤底筋群をトレーニングする方法を説明しています。

3分でわかる!インナーマッスル横隔膜・骨盤底筋群の正しいトレーニング方法

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