フリースローの5秒はあまりに短い

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  • バスケットボールのフリースロー、与えられる時間の5秒は短くありませんか?

競技時間が無駄に長引くのを避けるため、制限時間を設けるのは理解できます。しかし、ペナルティ・スローなのだから、慎重に打つのに十分な時間が欲しいです。

この記事は、フリースローの持ち時間5秒についての雑感です。

競技規則

バスケットボール競技規則 第43条は、フリースローに関する規則が書かれています。その中の43-2-3は、フリースローシューターについての規則です。

43-2-3
フリースローシューターは:
(途中省略)
審判からボールを与えられたあと、5秒以内にボールを放たなければならない
・ボールがバスケットに入るかリングに触れるまでは、フリースローラインまたは制限区域内のフロアに触れてはならない
・フリースローをするふりをして途中でわざとやめてはならない

バスケットボール競技規則 から引用 色は追記

なお、NBAでは10秒与えられますが、10秒を超えているのでは?と思うときが度々あります。

わたしが関係するような市民大会でも、5秒について厳しく判断されているとは限りません。オーバーしてもコールされないかもしれません。でも、規則なのですから、現実にあったモノにして欲しいです。

高確率で決めるには?

例えば、NBAでフリースローが得意な選手は、同じルーティンを行って、同じ軌道に見えるシュートを放ちます。でも、それはとても繊細なものだと思います。

ウェストブルックの苦悩

競技規則でルーティンを狂わされた選手の話(2017)があります。

リーグは今シーズンから、試合時間の短縮を目指すため、フリースローを獲得した選手が、試投時の合間に3ポイントラインを越えることを禁止した。ウェストブルックは、これまで常にフリースロー試投時の合間に必ず3ポイントラインを越える動作を繰り返し行ない、精神を集中させてきた。それを禁じられたことで、今シーズンは6試合を終えて39本中24本成功、成功率は61.5%に減少。キャリア成功率82.1%を記録していることを考えれば、『新ルール』によりリズムを狂わされていることが分かる。

フリースローのルーティンを狂わせた『新ルール』に苦しむラッセル・ウェストブルック から引用

ルールの変更は、特定の選手のルーティンを邪魔する目的ではなくて、競技時間の短縮が目的だと思います。

しかし、ルール変更の意図に反した影響をこうして見ることで、フリースローの準備がどれほど繊細で融通が利かないものなのかを感じさせられます。

プレ・パフォーマンス・ルーティン

ルーティンと呼ばれるものは、事前のルーティン(プレ・パフォーマンス・ルーティン)です。事前に一連の動きを完了させることが重要です。

前回のワールドカップ・ラグビー(2015)では、五郎丸歩選手が脚光を浴びました。

 「一連の動きに集中することで、観客の歓声や相手の動きなどの外的な障害と、キックが入るだろうかという不安や心配といった内的な障害を取り除くことができる」
 このルーティンを完了したとき、五郎丸選手は、心身ともにキックを蹴る準備が整い、「肉体的に、あとは蹴るだけ」といった状態になるのだという。

「五郎丸ポーズ何の意味もない」女性博士が語る開発秘話…「験担ぎではありません」 から引用

イチロー選手のはルーティンではない

五郎丸歩選手と共にルーティンを作り上げた、園田学園女子大人間健康学部の荒木香織教授によれば、イチロー選手の事前動作は、ルーティンではないと言います。

 《左打席に入り、右手でバットを投手側に掲げた後、左肩後方にグリップを位置する》
 米大リーグのマーリンズで活躍するイチロー選手が毎回行う「行動」だ。一見するとルーティンのように思えるが、荒木氏は「癖じゃないですか」と解釈する。
 これは、野球という競技の特性が関係しているらしい。野球の場合、打者と投手の駆け引きがあり、打者は投手によって、自分の間を崩されたりする。その観点からすると、「自分のペースで間合いを取って…」という行動を完了させることができない可能性が高く、ルーティンとはならないというわけだ。

「五郎丸ポーズ何の意味もない」女性博士が語る開発秘話…「験担ぎではありません」 から引用 赤は追記

でもね・・・

五郎丸歩選手の言語化されたルーティン(下記)には、「間合い」は出てこないんですよ。

 (1)ボールをタテに2回転させてからセット
 (2)右手を前に出しながらゴールポストの位置を確認
 (3)ボールの真後ろに3歩下がり、さらに左へ2歩
 (4)その位置で、両手の指を胸の前で組み、腰を引き気味に立つ
 (5)右手を2回、右斜め下から中央に向かって振った後、再び両手指を組み、ゴールポストの方向を見る
 (6)そこから8歩のステップを切り、ボールを蹴る

「五郎丸ポーズ何の意味もない」女性博士が語る開発秘話…「験担ぎではありません」 から引用

五郎丸歩選手は(多分、(5)と(6)の間で)何か大切モノを待って、適切と思えるタイミングで(6)の動作に入るのだと思うのです。その大切なモノが間合いなのでしょう。

その大切なモノは、弓道で使われる「会(かい)」のようなものではないでしょうか。結果を左右する重要な「会(かい)」については、下記の記事をご覧ください。

5秒はあまりに短い

バスケットボールの競技規則では、フリースローの持ち時間は5秒です。その中で、ルーチィンを確立し「会(かい)」・・・「適切なタイミングを待つ」ことをしなければなりません。

そう考えると、5秒はあまりに短い時間です。

そのためか、姑息?な手段を見ることがときどきあります。

  • フリースロー・ラインには促されるまで行かない
  • エンドにいる審判からのパスを受け損ねる
  • 間違っているリバウンドポジションを指摘し、審判にボールを返す

将来的には、NBAのように10秒になるなど、フリースローの持ち時間は長くなるかもしれません。ペナルティに与えられる救済なのだから、十分に長くなることを期待します。

余談

荒木香織教授の指摘に反して、イチロー選手の事前動作は、ルーティンだと思うのです。それは、獲物を狙うサギのように。

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優秀なサギは準備した上で、写真のような体勢で「適切なタイミングを待つ」のではないでしょうか? サギの準備ってなんだ?

荒木香織教授風に考えれば、「魚のふるまいに合わせる必要があるから、サギの間合いにならないので、準備はプレ・パフォーマンス・ルーティンではない!」となるかもしれません。

でも、待ちの体勢で、(安定して)狩りのタイミングを待ち続けられるなら、その準備はプレ・パフォーマンス・ルーティンだと思います。

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