酒田市八幡カップ・バスケットボール交歓大会2019静岡大会に行ってきました。
八幡カップは、歴史のある全国規模の交歓大会です。シニアの全国大会がないからと山形県八幡市で平成8年に誕生しています。素晴らしい文化的な功績です。
スーパーシニア(50歳以上)、ゴールデンシニア(60歳以上)のカテゴリーがあり、会場は、全国各地の持ち回りで開催されています。単なるシニアのスポーツ大会ではなく、交歓大会として盛り上げようとする姿勢が特色でしょう。
その特色のために、ローカルルールがありますが、近年は少々違和感を感じます。
この記事は、交歓大会におけるエンジョイピリオドについての雑感です。
真剣にプレイするためには、勝敗にこだわり優勝チームを決めるのが容易です。しかし、勝利至上主義に向かっていくと、「交歓大会」ではなくなっていくのかもしれません。
競技規則(ローカルルール)
大会名に「交歓」がありますし、試合前に地場産品などの交換が行われます。
交歓大会ですが、トーナメント方式で勝敗が決められます。そのことが微妙な難しさを生んでいるように感じます。そもそも「交歓」の意味は、
互いに打ち解けて、親しく交わること。
明鏡国語辞典から引用
です。普通に試合をした程度では、交歓とはならないのでしょうか? それとも勝敗が絡むと”ノーサイドの精神”とはならなくなってしまうのでしょうか? このことは問題かもしれませんが、それはさておきまして、ローカルルールが設けられています。
第2ピリオドをエンジョイピリオドとし、得点にかかわらず、勝ったチームに1点を与える。
当初は、上手く機能していたルールなのかもしれません。でも近年、経験上も観察していても、交歓のためのルールとして機能しているのだろうか?と思うことがあります。
元々は、
1点しか影響しないから、(試合に最も影響しない第2ピリオドを)エンジョイピリオドにすれば、(せっかく遠方まで参加してくれて、高齢者やコンディション不良の選手にもプレイイングタイムを与えられるので)楽しんでもらえるのではないか?
という感じだったのではないでしょうか。
しかし・・・、このルールで試合をしたことがありますか?
試合の流れは分断できない
1点しか入らないのだから・・・という安易な気持ちで試合に臨むと痛い目に会います。良いディフェンスをし、早い展開で思い切りの良いプレイで盛り上がったチームの方が、後半にも良い流れをつかむように見えます。
結果的に負けてしまっても、盛り上がったチームに流れが行きます。
考えてみれば、試合中に設けられた時間帯なのですから、試合全体の流れに影響しない筈がありません。
多くのチームがそのことに気が付いているのでしょう。采配を見ていても、勝負の意図があるメンバー構成をとるチームが多いです。
その結果、プレイイングタイムが1秒も無い選手がいます。これはローカルルールを設けた意図通りになっていないのでは?
そんな采配を非難する声もあるかもしれません。でも、勝敗に影響がある以上、采配を責めることはできません。
交歓大会としても、エンジョイピリオドは多少、打ち解けた感じの和やかさはありますが、激しいファールもあります。だって、流れを失っては困りますから。激しいファールを責めることも出来ません。
個人ファールは累積する
個人ファールは、エンジョイピリオドであろうと累積します。
5ファールで退場したキープレイヤーが、第2ピリオドで2つのファールをしていました。
勝敗に影響するから、ディフェンスも手を抜けない。その結果、ファールがかさんでしまう・・・ローカルルールを設けた意図とは、異なる流れになっていると思います。
だからといって、個人ファールを累積しないようにすると、5ファール退場のルールにも影響しますので、難しい問題です。
エンジョイピリオドは、序盤や中盤になりつつある
勝負の一部になってしまったので、エンジョイピリオドは「内容が良ければ失敗しても構わない時間帯」に過ぎないものに見えます。
つまり、プラン通りに試合をし、失敗が許せる時間帯。通常の試合の前半ですね。エンジョイピリオドは、得点面において大失敗が許せるけど、試合内容の大失敗は許せない時間帯になっているように思えます。
もちろん、キープレイヤーを休ませられる時間帯になっています。一方、本来の調子が出ないプレイヤーが調整する時間帯にもなっています。
こうなってしまうと、エンジョイピリオドが前半に拡大されても、第1〜3ピリオドまで拡大されても大勢に影響が無いのかもしれません。
試合の終盤は、失敗が許されなくなっていきますので、エンジョイピリオドにはなり得ないでしょう。
得点が分かりにくくなる
エンジョイピリオドは、エンジョイピリオド中は普通に得点表示しますが、結果的には1点しか入りません。
その結果、後半はロースコアゲームのような見掛けになります。これは、試合慣れしている選手にとって、理解しにくい表示です。
ロースコアなゲームと、ハイスコアなゲームでは、プレイの選択が異なります。エンジョイピリオドがあると毎試合ロースコアにしか見えないので、得点表示の判読に時間が掛かります。
10点と11点、15点と16点など、あるいは、前半の得点から算出して1点加算するなどの工夫が欲しいところです。
改善案
差し出がましいかもしれませんが、エンジョイピリオドの改善を考えてみました。
まず、ピリオド8分を10分にしてはいかがでしょう。8分に短縮する理由が見つかりません。
(1)エンジョイピリオドを廃止する
もうエンジョイピリオドを廃止してはどうでしょうか。廃止では改善ではありませんが、現実を観察すると、最初に思い付きます。それほどまでに、勝敗の厳しさが押し寄せているように感じます。
でも、それでは本大会の特色が薄れてしまい、「酒田市八幡カップ」ではなくなってしまうように感じます。
トーナメント方式に変更を加える
トーナメント方式が「絶対負けたくない試合」を生み出し、「絶対負けたくない試合」がエンジョイピリオドを厳しいものにさせていると思います。
現行では、最低でも2試合、準決勝に進出すると5試合程度の試合数ですが、試合数のばらつきを無くすような方式でも良い気がします。
現在、優秀だけれども、過密スケジュールに押しつぶされているチームを目にすることがありますが、改善されるのではないでしょうか。
ミニバスでは、似ている問題について2018年から改革されたらしいです。
第49回全国ミニバスケットボール大会から優勝チームを決めない「交歓大会」に変わります。大会名称も『全国ミニバスケットボール大会』から『全国ミニバスケットボール交歓大会』と変更になりました。
2018年度から変わる全国大会の大会方式の変更とは? から引用 赤は追記
リーグ戦によるゲーム数の増加を目的としており、全チーム極力同じゲーム数を確保するという方式になり、優勝チームを定めないことにより勝利至上主義を排除して行くという日本ミニバスケットボール連盟の方針によるものです。
従来では予選リーグで敗退するチームは2ゲームで終わりでしたが、ゲーム数が増えるのは子ども達も保護者も楽しみが増えますね。
「勝利至上主義を排除するために、優勝チームを決めない」のは、横暴な論理で問題の本質を避けた解決に感じます。「勝敗のある世界で勝利至上主義にならない」のが正しいのではないでしょうか。
トーナメントでなくても勝敗は決められるのに。
(2)エンジョイピリオドを前半に拡大する
現行のエンジョイピリオドが、勝敗にこだわった試合の一部になっているのだから、その流れに従って、エンジョイピリオドを前半に拡大させてエンジョイハーフにしてはいかがでしょう。
前半終了後に、勝っているチームの得点マイナス2点を負けているチームの得点にするとか。ピリオドごとに1点差になるように補正するとか。
そうすれば、「失敗が許される前半」「前半を踏まえての後半」「対戦相手を知った上での後半」となり、通常の試合の要素を壊さずに済むように感じます。
過密スケジュールによる疲労も解決
エンジョイピリオドが前半に拡大されれば、過密スケジュールによる体力的な問題も緩和されるかもしれません。プレイイングタイムの偏りが改善されますので。
現在は、短期間に試合数が多過ぎて、豊富なプレイヤーと体力的な優位が勝敗に影響し過ぎているように感じます。
プレイイングタイムの確保が交歓につながる?
交歓のためには、プレイイングタイムの確保が必要だと考えるのなら、全選手にプレイイングタイムの下限(X分とか)を設けるのも良いかもしれません。
ただし、プレイイングタイムの計測で、TOに負担を増やすのは困ります。ただでさえ、TOの間違いが多いので、これ以上負担を掛けないで欲しいです。
(3)判定を厳しくする
公認審判による(ファールの)判定基準を、限りなく厳しくしてはいかがでしょうか。
ケガをさせたり、させられたりしたことで揉めているのは見たことがありませんが、判定がゆるいので、接触の激しさがエスカレートしている場面を良く見掛けます。
もしかしたら、(年寄りなのだからバイオレーションは大目に見ようという)事前打ち合わせがあり、接触も大目に見よう!となっているのでは? そう思わされるほど、「笛が鳴らない」と感じる試合が多いです。同じように感じている人が少なからずいます。
笛が鳴らない場合、肉体的なタフネスさがプレイヤーに求める前提条件になり、「多くのプレイヤーを参加させたい」という意図に沿えなくなってきます。
それに、近年、深刻なケガが増えているように感じます。判定との因果関係は分かりませんが。
おわりに
ここ数年間に観察した感想を元になるべく客観的に考えたつもりです。しかし、観戦した試合も限られますし、偏った見方をしているかもしれません。
最後に大雑把な改善案を挙げれば、次のようになります。
- ピリオド10分
- エンジョイハーフ
- ピリオド毎に負けているチームの得点を勝っているチームのマイナス1点
- 前年度の戦績に基づく組み合わせでリーグ
- スケジュールが事前に決まるので、多忙な人の参加が容易になるかも
- 審判の判定は厳しく神経質に
失礼いたしました。
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