
- 有効な武器を持っていますか?
- その武器を失ったら、どうなりますか?
さらに成長するためにどうするか? そんなときに使われる「武器を捨てる」という考え方があります。
この記事は、「武器を捨てる」にまつわる雑感です。
さらに成長する
さらに成長するために「長所を伸ばす」とか「短所を補う」などの考えで取り組むことがあります。
もちろん、間違いではありませんし、「長所を伸ばす/短所を補う」という考えを否定するつもりはありません。
しかし、「武器を捨てる」では、「長所を伸ばす/短所を補う」と考えていたときには見えなかったことが、見えてくるときがあると思うのです。
以降では、バスケットボールにおける選手個人の成長を例に考えてみます。
武器を捨てる
タツさん(仮名)は、PGです。その特徴は、
いつも明るくニコニコしている- 速いドリブルでプッシュする能力が高い
- アーリーオフェンスでレイアップまで持ち込める
(シュートの成功率が悪いけど)ファールをもらえる(ことが多いかも)
「武器を捨てる」では、使い物になるスキルを失った場合を想定して、トレーニングの方向性を探る手段だと捉えています。
- そのとき、どうするか?
- どのようなスキルを身に付けると有効か?
この辺りのことが見えてくると思っています。
武器は何か?
同じ武器を捨てているようでも、見方によって失うものが異なります。
「速いドリブルでプッシュする能力が高い」を失う
「速いドリブルでプッシュする能力が高い」を失った場合を想定すると(A)、(B)の2通りのことが考えられます。
- 「速いドリブルでプッシュする能力が高い」を失う
- (A)スピードを失う
- (B)ドリブルでプッシュする能力を失う
(A)スピードを失う
スピードを失ったら、本当にドリブルでプッシュする能力も失うだろうか?
これは、プレイヤーによって異なると思います。ドリブルテクニックでプッシュしているプレイヤーは、少しスピードが落ちたからといって(プッシュするスピードは遅くなるけど)プシュする能力は失わないと思います。
単純な足の速さでプッシュしているプレイヤーは、スピードを失えば、プッシュする能力も失うでしょう。
タツさん(仮名)の場合、速いスピードでの”スピードの強弱”でプッシュしていると観察しています。ここから、遅いスピードでも”スピードの強弱”を使えれば、さらに成長するかもしれないことが伺えます。
(B)ドリブルでプッシュする能力を失う
すべてのポイントカードが、ドリブルでプッシュする能力があるわけではありません。プッシュが得意でないPGは、例外なく前方へのリードパスが上手いです。長い距離のパスも上手いです。
タツさん(仮名)の場合、前方へのリードパスが少ない傾向があります。もしも、前方へのリードパスが不得意なら、改善することで更に成長するかもしれません。
もしも、長い距離のパスが下手なのなら、改善することで更に成長するかもしれません。この場合、原因がビジョンの場合と、ボールを投げる能力の場合があるでしょう。
「アーリーオフェンスでレイアップまで持ち込める」を失う
「アーリーオフェンスでレイアップまで持ち込める」を失った場合を想定すると(A)、(B)の2通りのことが考えられます。
- 「アーリーオフェンスでレイアップまで持ち込める」を失う
- (A)スピードを失う
- (B)レイアップする能力を失う
(A)スピードを失う
スピードを失ったら、レイアップシュートに持ち込める能力も失うだろうか?
これは、プレイヤーによって異なると思います。1on1のテクニックでレイアップまで持ち込んでいるプレイヤーは、少しスピードが落ちたからといってレイアップに持ち込める能力は失わないと思います。
単純な足の速さでレイアップまで持ち込んでいるプレイヤーは、スピードを失えば、レイアップまで持ち込める能力も失うでしょう。
タツさん(仮名)の場合、速いスピードでそのままレイアップしていると観察しています。ここから、遅いスピードでもレイアップできるようになれば、さらに成長するかもしれないことが伺えます。
(B)レイアップする能力を失う
すべてのポイントカードが、レイアップシュートに持ち込める能力が高いわけではありません。あまりレイアップシュートに持ち込まないPGは、例外なく短い距離のジャンパーが上手いです。また、アーリーオフェンスでのパスが多彩でしょう。
タツさん(仮名)の場合、短い距離のジャンパーが少なく、かつ、後続のプレイヤーへのパスも少ない傾向があります。もしも、短い距離のジャンパーが不得意なら、改善することで更に成長するかもしれません。
あるいは、もしも、後続の選手へのパスが不得意なら、改善することで更に成長するかもしれません。
長所を伸ばす/短所を補う
「長所を伸ばす/短所を補う」で考えていると、長所/短所を列挙することができても、何をすればより実戦的なのかが分かりにくいと思います。
タツさん(仮名)の場合、長所を伸ばそうとして、もっとスピードアップしようと(得るモノが少ないのに)努力することに落ち入ってしまうかもしれません。あるいは、短所を補うために・・・
私がタツさん(仮名)のプライベートコーチなら、「遅いスピードでの強弱と短い距離での安定したジャンパー」に取り組みます。「遅いスピードでの強弱」と「ジャンパー」は関連するので、取り組みやすいのではないでしょうか。
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