アイルランドは日本の応援を取り込んだの?

laurabodenschatzによるPixabayからの画像

ラグビー・ワールドカップが日本で開催され、日本がアイルランドに歴史的金星を上げるなど、もう熱狂状態です。

でも、アイルランドは、最後になぜタッチに蹴り出したのだろう? オトナであるわたしは、素直に見ることができません。

この記事は、スポーツを愛する年寄りの愚問です。

アイルランドは勝ち点計算の無気力プレイ?

自国開催のプレッシャーに打ち勝ち、日本はアイルランドと好勝負を展開していました。日本は讃えられるべき試合内容で最終的に勝ちましたが、私にはアイルランドの負け方が十分には理解できないです。というより、スゲー試合巧者(大会巧者)だなぁとしか感じられません。

ラストワンプレーの合図後、アイルランドの攻撃になり、同点に追い付く可能性が残されていました。しかし、同点に追い付くチャンスを捨てて、タッチに蹴り出して試合を終了させ、19-12、7点差の敗戦を選択しました。

「勝つチャンスがあるなら最善を尽くす」のがスポーツでしょう? どうしてもアイルランドの蹴り出しには、疑念を持ってしまいます。

まずは、ヘッドコーチのインタビューを元にした記事を引用しましょう。

 試合後、海外メディアからの指摘にアイルランドのジョー・シュミッドヘッドコーチ(HC)は理由を明かした。
「ボーナスポイントは非常に重要だったかもしれない。(現在は)2試合で勝ち点6で私たちはグループ上位にならないといけない。(1試合で勝ち点5の)サモアより短期的に上位になるためにはボーナスポイントも重要になる。今後はロシア、サモアとも戦い、厳しい試合になる。上位になるためにはしっかりと追いかけていかないといけない」
 狙ったのは勝ち点「2」ではなく、7点差以内の負けに与えられる勝ち点「1」。その言葉は裏返せば、これ以上攻めれば、圧倒されている日本にトライを奪われ、「1」が「0」に減るリスクを感じていたということになる。結果、最後は負けているアイルランドが自ら終わらせる選択で笛を鳴らせた。
それは、日本の強さを認めているが故の選択だった。

なぜ、最後に蹴り出した? アイルランドHCが明かした理由、日本の脅威に屈した決断 から引用

「決勝トーナメントに進出するための、勝ち点を得る賢明な策」のように書いてありますが、それって恥ずべき行為だった筈ですよね?

スポーツの大前提は、「勝利を目指して最善を尽くす」です。

無気力プレイは非難される筈

過去を振り返れば、たくさん事例があるでしょう。ロンドンオリンピック(2012)のバドミントン女子ダブルスや、15歳以下のサッカーでは厳罰が与えられています。

サーブ「わざと」ミスの応酬、勝って笑顔なし バドミントン女子「無気力試合」の一部始終
ロンドン五輪のバドミントン女子ダブルスで、韓国や中国など計4組が「無気力試合」を理由に失格処分を下された。試合では、お互いがわざと負けようとしているとしか思えない不可解なミスを連発。世界ランキング上位のペアが、なぜこんな「愚行」に走ったのか。
サッカー無気力試合で両監督処分 福井県のU15大会、不自然なOG | スポーツ,社会 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE
サッカーのU―15(15歳以下)の福井県クラブユース選手権の予選リーグで、不自然なオウンゴールをするなど無気力試合を行ったとして、福井県サッカー協会が、対戦した両チームの監督に対し「3カ月のサッカー関連活動停止処分」を下したことが6月7日、関係者への取材で分かった。両チームに対してはけん責処分として反省文の提出を科した...

上記の例は、試合そのものを最初から放棄しているようなものなので、程度が違い過ぎて同意できないかもしれません。でも、記憶に新しいW杯サッカーでの日本対ポーランド戦はどうでしょう。

厳罰などには及ばない問題ではありましたが、厳しい論調で語られていましたよね?

   「後味悪すぎ」――。ロシア・ワールドカップ(W杯)第3戦・ポーランド戦は終盤、負けている日本が時間稼ぎをするという奇妙な展開となった。
   同時刻に他会場で行われたセネガル対コロンビア戦との兼ね合いで、「フェアプレー・ポイント」勝負となったためだ。決勝トーナメント進出という実をとるため、西野ジャパンは「もどかしいサッカー」を選んだ。

日本、負けてるのにまさかの「無気力サッカー」 長谷部「もどかしいと思う」 から引用

もどかしいサッカーの動機になったのは、「フェアプレー・ポイント」での優位という、出来過ぎたジョークが面白かった珍事でした。

厳しく見れば、アイルランドの蹴り出した行為も、同程度には非難されて当然なのではないでしょうか? アイルランドの場合、1プレイの選択に過ぎませんが、同じような無気力プレイだと思います。

記者会見も試合の一部

ヘッドコーチのインタビューを元にした記事の続きです。

 会見でシュミッドHCはこうも言った。その口ぶりはリップサービスには聞こえなかった。
「厳しく強いチームと思っていて、その通りだった。クオリティが高い選手がいて、抑え込むのが難しい。今日は日本を祝福したいと思う。日本は私が予想した通りのプレーをしていた」

なぜ、最後に蹴り出した? アイルランドHCが明かした理由、日本の脅威に屈した決断 から引用

アイルランドにとって、日本を誉め称えることで失うものは何もありません。むしろ、伝え聞いたすべての日本人から好意を得られるでしょう。

アイルランドは負けるつもりなど毛頭なかったのに、失敗したのでしょう。どのように失敗したかを話してくれていれば、記者会見は、もっと信用できるものでした。

試合の内容が7点ビハインドでラストワンプレーを迎えてしまった場面に至っては、同点にする賭けに出て、更に失点して勝ち点を失う危険より、蹴り出して試合を終わらすのが賢明だったのでしょう。

記者会見は、アイルランドの今後の勝負を見据えてのものだから、ホントのことを話してくれる場所ではありません。今後のことを考えて、アイルランドの選手もスタッフもすべては勝負に注力している筈です。

花道はなぜピッチで?

潔く勝者を讃えるのは素晴らしいです。でも、選手による花道まで用意したのは、今後に活かす意図があってのことだと邪推してしまいます。

先に引き揚げようとしたのはアイルランド。しかし、ピッチを出るあたり選手たちが足を止め、2つに分かれ、列を作った。視線を向けたのは、日本の選手たちに対して。歓喜に沸いた観衆から大声援を浴びた勝者に花道を作り、迎え入れようとしたのだ。
(途中省略)
 大会の日本語版公式ツイッターが実際のシーンを動画付きで公開すると、投稿直後から「何回見ても涙出る」「魂が揺さぶられる」「これぞノーサイドの精神」などとコメントが相次いでいたが、反響はさらに拡大。再生回数はおよそ100万回となり、「最高のスポーツ精神」「なんと美しい光景」「最高の友情ですね」「心から尊敬」と感動の声が広がっている。

【ラグビーW杯】アイルランド、日本に作った“友好の花道”に感動 再生100万超「なんと美しい光景」 から引用

選手にしか感じ得ない感覚から来る敬意は、互いにあるでしょう。花道をつくり労いたい気持ちは、素直で自然なものかもしれません。

でも、「ピッチを出るあたりで」ではなく「ピッチを出たところで」でもよかったのに。

負けてしまった以上、アイルランドにとっての最善は、「日本開催の大会で、日本の皆さんの応援を味方にすること」ではないでしょうか。日本が決勝トーナメントに進出できてもできなくても、アイルランドにとっては、これ以上日本の応援を呼び寄せる行動は無かったと思います。

こんなことを考えるのは、わたしが汚れたオトナだからなのでしょうか。

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