バスケットボールでは、大き過ぎる人が有利になりすぎるのを防ぐために、3秒ルールがあります。競技には、こうした公平性のためのルールが必要だと思います。
バスケットボールの市民大会では、各所でローカルルールがあります。ローカルルールを設けることで門戸を広げ、公平性が与えられ、より多くの人が楽しめるようにする配慮だと思います。その思想には大いに賛同いたします。
しかし、ローカルルールにより、バスケットボールの駆け引きに影響を与えすぎるものは、再考の上、改善し続ける必要があるかもしれません。だからとって、ローカルルールの変更がひんぱんに行われると、戸惑ってしまうことになるでしょう。ゆっくりと、しかし、継続的にローカルルールを検討し続けて欲しいです。
ここでは、まず、ローカルルールを紹介します。そして、気になるローカルルールについて、プレイヤーとしての感想を述べます。もしも、主催者の皆さまがご覧になりましたら、再考の参考にしていただければ幸いです。
ローカルルール
- 年齢
- 例 38歳以上
- 例 35歳以上
- ただし、1名は年齢制限無し
- 例 50歳以上
- ただし、5人の合計が250歳以上になれば、1名は年齢制限無し
- 性別
- 例 男女混成可
- 例 対戦相手の承諾があれば、6号球の使用可
- 例 コート内に必ず、女性1名以上
- 例 男女混成可
- 年齢&性別
- 例 男性40歳以上、女性35歳以上
- エンジョイタイム
- 例 第2ピリオドは、得点の多い方に1点加算(1-0 となる)
- 得点
- 例 すべてのプレイヤーがフロントコートに入らないとゴールが認められない
- 例 4点/ピリオド/1人 の制限
- 年齢&得点
- 例 40, 50, 60歳以上はゴールすると、それぞれ、0, 1, 2点加算
気になるローカルルール
以下では、興味深いローカルルールについて触れます。
35歳以上、ただし、1名は年齢制限無し
1人の優れた選手が与える影響について、チームスポーツを比較することは、よくあるでしょう。ラグビーは完全なチームスポーツなので、優秀な1人ではどうにもならない、だとか。バスケットボールは、その点で、いわゆるワンマンプレーがある程度有効なスポーツだと言われています。
試合の面白さの中には、試合中の工夫があります。劣勢を接戦にしたり、接戦を制することは、大勝することとは異なる喜びが得られると思います。
1人の若者について、やり方をいろいろと変えて、工夫して守るのは楽しいです。しかし、1人の若者が「チームをステップアップさせる」能力が高過ぎると「打つ手無し」になってしまいます。
「スピードがあり、コートビジョンが広い優秀なガード」では、ときどき打つ手無し」になります。
この点が、このローカルルールの不備な点だと思います。
その次の「50歳以上、ただし、5人の合計が250歳以上になれば、1名は年齢制限無し」も同様です。
コート内に必ず、女性1名以上
接戦の終盤を除けば、とても良いローカルルールだと思います。接戦の終盤では、当然、「勝算のある策」を実施します。
一方、どんなに優秀な女性であっても、小さい/軽い/細い/遅い/・・・何かしら決定的な弱点があります。そのため、そこを突かれるか、「そこを突かれることを過剰に心配して、タイミングが早過ぎるカバーをして崩れる」ことが良くあります。
ですから、接戦の第4ピリオドには適用されない工夫が欲しいルールです。
6号球の使用
「男女混成可のルールで、対戦相手の承諾があれば、6号球の使用可」では、試合前に対戦相手に「6号でもよろしいですか?」と尋ねるチームがあります。 あるいは、対戦相手が「女性がいますけど、6号球がよろしいですか?」と親切そうに尋ねます。
試合前ですから、皆さん紳士を装って、親切に応対します。でも、本音は「6号球かよー!」な場合が多いでしょう。
わたしは「装い続ければ紳士になる」という考えで、なるべく頻繁に6号球を使用しています。しばらく続けてみると、純粋にシューティング・スキルの練習において、効果があると感じています。この話は別に書きます。
エンジョイタイム
シニアの大きめの大会で経験することがあります。「すべての大会参加者にプレイイング・タイムを与える」という考えで、賛同しています。年齢を重ねれば重ねるほど、プレイヤーでいることだけでも、祝福すべきことだと思います。
しかし、このルールは球技の難しさを教えてくれています。
第2ピリオドは、得点の多い方に1点加算(1-0 となる)
「高々1点しか入らない」はずなのに、このピリオドの流れが、その後の試合の流れに影響するのです。第2ピリオドですから、その後にハーフタイムがあります。それなのに、試合の流れを引きずってしまいます。
近年では、意図してのもんかは怪しいですが、「失敗しても1点だから」との考えで、思い切りが良過ぎるオフェンスを展開するチームが増えているように思います。
そのためか、(最終的には1-0になるのですが、)両チーム共にハイスコアな結果をたびたび目にします。そして、ここで流れをつかんで、盛り上がったチームが、後半戦を引っ張っていくことが良くあると思います。
参加者が少な過ぎるチームは、エンジョイタイムの恩恵がありません。プレイイング・タイムの確保はできているので、いい加減に第2ピリオドをやり過ごそうとしますが、試合の流れを奪われます。すると、後半に試合の流れを取り戻せずに苦労します。この点は気の毒に感じます。
エンジョイタイムは、チームとしての対処が難しいローカルルールです。
得点
得点に関する次のローカルルールは、ジャッジの難しさがありますので、賛同しにくいです。ワンマンプレーの排除という考えでしたら、納得できる面がありますが、チームプレー vs. ワンマンプレーで拮抗する試合が見れなくなるのは寂しいです。
- すべてのプレイヤーがフロントコートに入らないとゴールが認められない
- 4点/ピリオド/1人 の制限
なお、どちらも経験がありません。
40, 50, 60歳以上はゴールすると、それぞれ、0, 1, 2点加算
年齢差があっても、一緒にプレイできるための手段だと理解しています。手段はさておき、「一緒にプレイする」という考えには賛同します。うまく実現できれば、とても楽しいと思います。
しかし、得点で調整されると、試合の状況を理解できなくなります。
バスケットボールでは、それまでの流れを踏まえ、「そのときの得点と残り時間」をいつも気にしています。「あと何ポゼッションある」「3ptを2本入れると、状況が一変する」「こちらが2ptか、ファールをもらうと勝ちに一歩近づく」みたいなことを考え続けています。
しかし、4点プレー、5点プレー、ファールや3ptを加味すると、あっという間に10点入るケースが出てきて、状況が理解できなくなります。状況が理解できないと、それは違う種目と言ってもいいでしょう。この点が、このローカルルールの不備な点だと思います。
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