アサシンバグ(暗殺虫、サシガメ)の生態は面白い! 稀に刺されるので、見掛けてもさわらないように!

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サシガメをご存知ですか? 街の街路樹にもいる昆虫です。

サシガメは、カメムシ目カメムシ亜目のサシガメ科の昆虫の総称です。

ヒトが刺されることもあるのに、今ひとつ知られていないと思います。

一般のカメムシ類とは異なり肉食性である。多くの種は捕食性で、主として昆虫などの小型無脊椎動物を捕らえるが、ヒトを含む脊椎動物に対する吸血性を発達させたものがあり、昆虫食の種でも捕らえたり触れたりしたときなどに偶発的にヒトを刺すこともある。

Wikipedia

カメムシらしい形のカメムシならば、悪臭を恐れてむやみに触ることはないでしょう。

悪いことにサシガメの多くは細長いので、カメムシには見えないかもしれません。

公園管理者のための生物被害対処ガイドには、公園利用者の心得が記載されていますので、抜粋して転載します。

  • サシガメを見つけても触らない
  • 樹洞、構造物の隙間等に不用意に手を入れない
  • 地表や樹木、構造物等に触れたり、腰を下ろす場合は、サシガメがいないか確認する
公園管理者のための生物被害対処ガイドでは、キイロサシガメ、オオトビサシガメ、ヨコヅナサシガメについて注意を促しています。
 

また、刺されたときの対処として「痛みは一時的ですぐに治まるが、かゆみが長く続くようであれば、抗ヒスタミン成分含有のステロイド外用薬を塗る」とのこと。

痛みは一時的なのだろうか? 「数時間続く」とか、「数日痺れている」といったものも目にします。

抗ヒスタミン成分含有のステロイド軟膏は、処方箋なしで買えます。
 

以降では、昆虫の写真を記載していますので、苦手な方はご覧にならないでください。(写真はヨコヅナサシガメの成虫のみで、捕食シーンはありません)

以降では、主にヨコヅナサシガメについて書きました。


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害虫?益虫?

ヨコヅナサシガメに刺されると激痛らしい。「ハチほどではない」とか「ハチに匹敵する」などと言われます。

刺されると痛いなら、ヨコヅナサシガメは害虫でしょうか?

わたしは害虫、益虫という捉え方は嫌いです。
人間の身勝手な見方でしょう?
 

ヨコヅナサシガメはヒトにとっては害がありますが、いわゆる害虫も捕食します。

アメリカシロヒトリによる木々(サクラ、ヤナギ、カキ、コナラなど)の被害は、「アメリカシロヒトリを害虫として駆除してほしい」と単純に感じさせます。

5月の中頃になると、アメリカシロヒトリの成虫が木々のまわりを飛び交います。

下記の動画で白く舞う点がアメリカシロヒトリの成虫です。
2021年、横浜では例年より成虫の飛び交う姿が目立ちます。

葉の裏に300~800個ほどの卵をかためて産卵します。
ぞっとするほどの数です。
 
2021年5月 横浜市保土ヶ谷区

ヨコヅナサシガメは、そんなアメリカシロヒトリの天敵の一つです。

ヨコヅナサシガメは木の上で生活し、アメリカシロヒトリの幼虫(毛虫)も捕食します。

幼虫・成虫とも樹幹、枝、葉を歩き回って他の昆虫等の無脊椎動物を捕え、細長い口吻を突き刺して消化酵素を送り込み、体外消化で溶解した体内組織と体液の混合物を吸汁する。不用意に触れるとこの口吻で刺されることがあり、刺されると激痛を伴うので注意が必要である。捕食対象は樹上にいる毛虫、芋虫の類が主であるが、ダンゴムシ等も時折捕らえる

Wikipedia

アメリカシロヒトリは農作物にも被害を及ぼすので、捕食してくれるヨコヅナサシガメが益虫に感じることでしょう。

ヨコヅナサシガメは、木の上で生活し木の生育を守ってくれます。

さて、ヨコヅナサシガメもアメリカシロヒトリ同様、外来種です。

昭和初期に貨物に紛れて、中国や東南アジアから九州に入り、関東に分布を広げたのは1990年代と言われています。

  • ヨコヅナサシガメは、ヒトを刺すこともあり、激痛を伴います
  • 樹上で生活し、他の昆虫(幼虫など)を捕食します
    • アメリカシロヒトリの毛虫
    • 羽化中のセミ
    • その他

ヨコヅナサシガメの外見

サシガメはカメムシの仲間ですが、細長い種類が多いのでカメムシとは印象が異なると思います。

ヨコヅナサシガメを見てもカメムシの仲間に感じないと思います。

ヨコヅナサシガメの外見は、色彩や腹部の縁にある(名前の由来でもある横綱の綱に見立てた)独特な形状が美しいです。

2021/5/8 横浜市保土ヶ谷区
子供の頃に見たことがない”美しい昆虫”に感動し、写真に収めたのが本ページを書いたきっかけです。
 
上の写真と同じ個体

幼虫の形態などは、Wikipediaに写真付きで説明されています。脱皮後の鮮やかな赤い姿もきれいです。

集団生活

ヨコヅナサシガメは幼虫で越冬します。テントウムシのように集団で越冬します。

木の幹の窪みなどに数十から数百匹程度の集団でじっとしています。

ヨコヅナサシガメの幼虫は、集団生活を送ります。その幼虫の理由は、「大型昆虫を数で倒す」ためらしい。

蟻や蜂のような巣を持たないし分業もしないのに、狩だけは… というより集団で暴行する習性なんです。

集団生活の詳細は、Wikipediaに出典付きで説明されてます。

共食いしない?!

捕食性の昆虫の多くは、共食いします。

カマキリの卵を持ち帰って狭い飼育ケースに収めると、孵化後に共食いして、あっという間に数が激減するのは有名でしょう。
 

それなのに、ヨコヅナサシガメは共食いしません。共食いしないから、幼虫が集団生活できるのです。

厳密には、孵化中の初期幼虫は食べられる対象です。(孵化完了後は同種に捕食されません)

幼虫の集団生活、産卵場所、孵化中の捕食回避を考え合わせると、解明されていない仕組みに従った生態が興味深いです。

母虫は幼虫の生存率が最も高くなる場所として樹幹の窪みを選び、セカンドチョイスとして枝の又部を選ぶが、これは単なる過密回避ではなく、孵化の際に先行して孵化して生活を開始している同種幼虫から我が子が捕食されるのを避けるためである[6]と考えられている。幼虫は孵化後3日ほどは摂食活動をしない[6]。このため、既に産み付けられている卵が自分の産む卵よりも大幅に先行して孵化するほど日が経っていないと判断した場合、母虫はどんなに沢山既に卵が産み付けられている窪みであってもそこに産卵する[6]。ただ、母虫が目の前の卵の産後日齢を見分ける具体的な方法は判明していない[6]

おわりに

サシガメへの注意喚起と、ヨコヅナサシガメの面白さを紹介いたしました。いかがでしたでしょうか?

コロナ禍で人混みを避けて、静かに公園で過ごす人が増えたように感じます。

公園の木々でもヨコヅナサシガメを観察することができます。

動きが鈍いので、不用意に触れなければ刺されることはまずないでしょう。

安心して接近し写真撮影できます。

神経質に注意する必要はないかもしれませんが、見つけても触らないのが無難です。

世界には、ヒトなどから吸血する種類のサシガメもいます。その一部が媒介する、とても怖いシャーガス病が有名です。

日本には、ヒトから吸血する種類はいません。
 
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サシガメの駆除に取り組んだ日本の科学者と青年海外協力隊員が、中米各国で展開した、「シャーガス病対策プロジェクト」

サシガメの生態に興味が湧きましたでしょうか?

ヨコヅナサシガメ以外もサシガメの生態は面白いです。

最後に、サシガメの面白い生態を紹介している記事を紹介いたします。

「暗殺虫」の襲撃テクニックを解明
サシガメの一種が、巣を揺らして気づかれないようにクモに近づくため、周到な工夫をしていることがわかった。
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