集中しろ!どのように?

近所の師匠から、タツさん(仮名)にアドバイスがありました。

Pixabayの5397111による画像です

ネコが何かに集中しているとき、突然、近くの人に驚く様子を見せるときがあります。「ネズミの気配」か何かに全神経が集中し、それ以外のものには、呆れるほど不用心な様子を見たことがあると思います。

一方、完全にリラックスして、日向ぼっこを楽しんでいる風なのに、どの方角からでも近づく人に警戒を維持し続ける様子のときもあります。近づこうものなら、一瞬の動作で逃げていきます。

前者は、「ネズミの気配」か何かの1点に集中し、後者は、「周囲の気配」について広く警戒している状態です。

「集中しろ!」

バスケットボールの試合で、コーチが「集中しろ!」と言ったら、ネコの例で言う「ネズミの気配」/「周囲の気配」のどちらのように、集中するのでしょうか?

多分、両方なのでしょう。例えば、ボールマンに対してのディフェンスは「ネズミの気配」だし、オフボールのディフェンスについては「周囲の気配」を意味しているのでしょう。

しかし、ほとんどの人は、コーチから、どのように集中するかの説明を受けた経験はないと思います。

パス

まずいパス

インターセプトされる確率だけで、パスの善し悪しを主張するつもりはありませんが、頻繁に、パスをインターセプトされるプレイヤーがいます。そのようなプレイヤーの内、次の特徴を備えている人がいます。

  • レシーバーを凝視してパスをする
  • ディフェンダーを見ていない

パスは「周囲の気配」で出さなければならないのに、「ネズミの気配」で対処しようとしています。それもディフェンダーの気配ではなく、レシーバーの気配・・・インターセプトされてから、ネコのように驚いているときがあります。

人間の目は便利なもので、焦点を合わせたもの以外のものも認識できます。

ほとんどすべてのパスは、レシーバーに焦点を合わせずに、レシーバーのターゲットハンドを(焦点を合わせずに)認識して、ボールを送り出せます。

(焦点を合わせずに)ディフェンダーとレシーバーの位置関係を認識していれば、「ガッカリするような間抜けなパス」をインターセプトされることは、無くなると思います。

良いパサーになるには、ディフェンダー、レシーバーほか、更に「周囲の気配」に注意を配る必要があります。

動き

パスは動きの中で、行われます。パサーか、レシーバーのどちらか、あるいは、両方が動いている中でパスします。

ゲーム中に、動くレシーバーを凝視して、パスすることは難しいです。パスの到達点(領域)にタイミングを測って、ボールを送り出すことがほとんどでしょう。

動けば動くほど、「ネズミの気配」的な集中の入り込む余地はなく、「周囲の気配」的な集中になります。

シュート

シュートを打つときには、「ネズミの気配」的な集中が必要です、リングを凝視します。ディフェンダーに視界をはばまれても、リングに対しての「ネズミの気配」的な集中を継続し続けます。放たれたボールに対する集中ではありません。

シュートを打ち始めたら、ゴール下のノーマークな味方にパスを出すのは困難です。なぜなら、「ネズミの気配」的な集中から、「周囲の気配」的な集中に変更することが困難だからです。

シュートを打ち始めてから、ゴール下のノーマークな味方にパスを出せるのは、シュートモーションに入る前から予期している場合がほとんど全部でしょう。

意図して切り替える

ヒトはもともと、「ネズミの気配」/「周囲の気配」のどちらか一方が得意です。あるいは、どちらか一方が不得手です。

「ネズミの気配」的な集中でパスが下手な選手は、シュートに適性があると専門家は言うのだけど・・・本当にそうなのでしょうか?

それはさておき、意図して「ネズミの気配」/「周囲の気配」を切り替えるのが、ゲームの側面だと認識しています。

ご参考

書籍「バスケットボールのメンタルトレーニング」

原書は1987年、翻訳版は1991年の出版です。しかし、今読んでも、古さは感じられないです。改版されること無く、現在も入手可能です。

わたしのプレイの質が、大人になってから良くなっているとしたら、多くの要因は本書にあります。翻訳版が出版された当時、自費で購入した本書をチームメイトに配りましたが、きっと迷惑だったことでしょう。だって、何も改善されませんでしたから。

原題は「Basketball FundaMENTALs – A Complete Mental Training Guide」と凝っています。翻訳版のタイトルが「メンタルトレーニング」でなければ、もっと売れたのではないかと思います。

本書では、「センタリング( centering )」という訳語で、「注意をどこに向けるかを決定する心の機能」を説明しています。比較的狭い範囲に注意を向けることをファインセンタリング、広い範囲に向けることをソフトセンタリングとしています。

つまり、「ネズミの気配」がファインセンタリング、「周囲の気配」がソフトセンタリングです。師匠が十分に理解している通り、本書はネコでも読み解けるように、翻訳を工夫しています。

「心の機能」と言いながらも、目の使い方などの具体策に丁寧に言及して、説明しています。オススメの一冊です。特に、わたしのように思考に柔軟性が無いと自覚している人には、役に立つと思います。

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