バスケットボールを容易に消毒する方法はありません。バスケットボールに限らず、天然皮革を貼ってあるボールも同様です。
合皮のボールであっても、消毒したら痛んでしまうでしょう。
コロナ禍での練習後、人が触れたであろう箇所をアルコールや次亜塩素酸水で消毒・除菌していますよね?
だけどバスケットボールは消毒できません。
アルコールや次亜塩素酸水などでボールを拭かないようにお気をつけください。
皮革の変質と、貼りがはがれる恐れがあります。
見た目の一時的な変質では済まずに、痛んで使い物にならなくなるかもしれません。
以降では、ボールメーカーの消毒についてのコメントも紹介します。
最後までご覧になり、あなたの参考になりましたら幸いです。
消毒されたボール
たった一度の消毒であっても、ボールに貼ってある皮革に影響があります。
質感や使い心地は、もちろん影響があります。
見た目にも色落ちや色移りが生じます。
見た目だけの問題ではなく、皮革の変質と、”貼り”がはがれる恐れがあります。
決して消毒しないようにしましょう! アルコールや次亜塩素酸水などでボールを拭かないようにお気をつけください。
協会のミスリード
バスケットボール協会の地区協会が開催するある大会は、運営がしっかりしているので人気の大会です。
試合球、練習球ともに協会が用意してくれます。
しかし、ボールを消毒するという大きな間違いをしていました。
消毒に使用しているのが、アルコールなのか次亜塩素酸水なのかを確認することはできませんでしたが、
湿っているけど油分が抜けたボールで滑るため、ハンドリングやシュートタッチに影響があります。
湿っているので、ゆっくりした動きではあまり滑らない印象ですが、キャッチやロングレンジのシュートでは唐突に滑る印象です。
油分が抜けているので、ボールの寿命も短くなるでしょう。貼りがはがれるかもしれません。
消毒するという間違いを協会がすると、良い子のみなさんに広まってしまうのが心配です。
間違いに気づいて、ボールの消毒をあきらめてほしいです。
・新型コロナ、物の表面を触って感染のリスクは低いことが明らかに 米調査 | Newsweek
どうしても心配ならば、ボールを数多く用意して、1日か2日ボールを放置できるようにすれば、残存するウイルスはほぼ無くなるでしょう。
ボールメーカーのコメント
ボールメーカーさんは、自社製品であるボールが消毒・除菌剤に耐えられないことを分かっているのでしょう。
消費者は消毒方法を知りたいのだから、メーカーの回答は「できない」とか「知らない」、「調査中」だと思いますが、「消毒したらどうなるか」が公開されています。
molten(モルテン)
モルテンさんは、ボール表皮への消毒剤の使用について – molten モルテン で情報を公開しています。
消毒・除菌剤ごとにコメントしていますが、(比較的安全であろう)次亜塩素酸水については書いていません。
以降では、公開情報から抜粋して転載します。
高濃度アルコール
色落ちや表皮はがれ、ひび割れの原因となります。特に天然皮革を使用している製品では、表面の油分が溶け、グリップ性の低下を招く恐れもあります。
ボール表皮への消毒剤の使用について – molten モルテン から引用
次亜塩素酸ナトリウム水溶液
吸水性の高いボールに消毒成分が表皮に残ると、接触した皮膚などに悪影響を及ぼす場合があります。
ボール表皮への消毒剤の使用について – molten モルテン から引用
また、製品の色落ちや変色の原因となる恐れもあるため、使用は控えてください。
界面活性剤(アルキルグリコシドなど)
色落ちや変色の原因になる恐れがあります。使用後は水拭きが必要ですが、弊社製品は水拭きに適さないため、使用は控えることをお勧めいたします。やむを得ず使用される場合は、消毒液を表面に塗布後、軽く水拭きをし、すぐに乾拭きしてください。
ボール表皮への消毒剤の使用について – molten モルテン から引用
MikASA(ミカサ)
ミカサさんの公開している情報は見当たりませんが、バレーボールのコーチがミカサさんに問い合わせた結果を公開しています。
・ボールの消毒・除菌に関しましては、アルコールや次亜塩素酸水などの消毒・除菌液の使用で、表皮の分解、表皮カラーのプリントの色落ちが発生する場合がありますので、オススメしておりません
バレーボールの消毒方法とは?MIKASA(ミカサ)さんに聞いてみました | ナイスキーブログ から引用
・これらを使用したCOVID-19(新型コロナ感染症)に対する消毒効果などの検査結果やデータがございませんので、ご案内できません。
消毒は何をしているか?
感染予防の観点では、手指を石けんでていねいに洗うことでも効果があります。
アルコール消毒は、手をきれいに洗ってから十分水分を取り除いてから行うのがより良い方法です。
洗浄は汚れなどを落とすことが主ですが、消毒は「ウイルスを不活化する」ことが狙いです。
だけど「ウイルスを不活化する」だけではなく、残っている水分や油分を取り除きます。濃度によっては、細胞膜を破壊するでしょう。
そのため、皮膚の保護機能が壊されて、手荒れが生じることがあります。
ボールがアルコール消毒されると、ヒトと同様、表皮が荒れます。ボールには自ら皮膚を治すチカラはありません。革がはがれるかもしれません。
ボールを洗浄?!
ボールをきれいに洗浄するのはムリです。消毒はもっとムリです。
ボールを傷めない道具で磨くことしかできません。
きれいに洗浄することはできませんが、磨くことである程度は、ウイルスを含めた要らないモノがボールから取り除かれます。
ボールの手入れ(1)磨こう! をご覧になれば、磨き方が分かります。
新型コロナウイルス感染症の予防について配慮するなら、クリーナーで使用したボロ切れは、汚染されているものとして廃棄するのが良いでしょう。
まとめ
先日、アルコール消毒された”使い込んだ”ボールが手元にありました。消毒前後の写真を残していないことが悔やまれます。
簡単に一度消毒されただけで、ワックスがけして磨いた油分が抜けてしまい、カサカサすべるようになりました。
アルコールは強力です。
貼ってある革がはがれないことを祈っています。
ところで、私には、ボールをアルコール消毒液で消毒する発想はありませんでした。だって・・・
アルコール消毒で手荒れが生じることがあるのは良く知られていることでしょう。
アルコール消毒後、手の水分や油分が抜けてしまい、わずかにカサカサしていますよね?
このことに気付いていれば、ボールのアルコール消毒はためらいますよね?
油分が抜けてしまったら、ていねいに磨きましょう。ボールの手入れ(1)磨こう! をご覧になれば、磨き方が分かります。
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