- ヒトは楽をしてサボろうとします。
- スキルを身につけようと反復練習しても、ヒトは無意識にサボります。
ウエイトトレーニングには、マッスル・コンフュージョン(筋幻惑法、幻惑法)という有名なメソッドがあります。
このページでは、幻惑法をスポーツのスキルトレーニングに取り入れる方法を紹介します。
最後までご覧になり、あなたの参考になりましたら幸いです。
はじめに
ヒトは楽をしてサボろうとします。
「トレーニングメニューを消化する」のではなく、「しっかりトレーニングしよう!」と意識していても「ただ練習しているだけ…(身につかない)」という苦悩は、誰でも経験しているのではないでしょうか?
ボディビルやリフティングに挑んでいなくても、継続的にトレーニングしたことがあれば、打開できない壁を感じたことがあると思います。例えば、
腕立て伏せが20回以上できない…
こうした壁を打ち破る方法の1つに幻惑法があります。
筋幻惑法(Muscle Confusion)
ボディビルの国際大会であるミスター・オリンピアを創設した、ジョー・ウイダー(Joe Weider)さんはトレーニングについてまとめ、後世に遺しています。
身体がその重さやトレーニング・メニューに慣れてしまい、成長が停滞したときに、その停滞期を脱出するための方法を「トレーニング原則」のひとつとしてまとめ、「マッスル・コンフュージョン(筋幻惑法)」としています。
筋幻惑法では、重量/回数/セット数・・・などを変えることを提唱しています。
スキルの壁
スキルを身につけようと反復練習しても、ヒトは無意識にサボります。
バスケットボールの経験があれば、試合で使われているボールに文句を言っているシーンを目撃したことがあるでしょう?
規格から外れているわけでもないのに、一部のプレイヤーはボールの交換を要求します。
扱いにくいボールでは、試合全体でのミスが明らかに増えます。だけど一部のプレイヤーは、まったく問題なく正確にボールを扱います。
わたしはボールを選ぶタイプで(自分でも残念なスキルですが)、ボールを選ばないスキルを身に付けたいです。
サッカー選手がトイレットペーパーでもリフティングできるように。
幻惑法でケトルベル・スイング
次のようなトレーニングを考えます。
ケトルベルの両手スイングは、動画をご覧ください。
ケトルベル・スイングについては、ケトルベル・スイングで解説しています。
背景、効果
なぜ、重さを変えるのか?
なぜ、予測できないやり方で重さを変えるのか?
トレーニングの背景を考えてみます。
丁寧にトレーニングする
正確な動作、そして、集中してトレーニングすることは大切なことです。
ボディビルダーでなくても、身体に注意を向けて集中することは大切なことです。
同じトレーニングであっても重さを変えると、経験のある重さでも予想と違って「うっ!重い!」とか、「えっ!軽い!」と感じることがありますよね?
そんなときは、そのトレーニングメニューに集中できると思います。
次に使う重さが直前に決まるのであれば、さらに集中を促進させます。トレーニングするときには、次のような意識で取り組むのが良いとされています。
- 軽いウエイトであっても、あたかも重いウエイトのように扱う
- 重いウエイトであっても、あたかも軽いウエイトのように扱う
どんな重さであっても同じようにスイングをします。
ケトルベル・スイングの動作向上
スイングは簡単に見えるトレーニングです。
でも実は、ヒップ・アクションを適切に行うのは難しいです。
初心者のときに初めに行なうトレーニングですが、いつまでも完成しないトレーニングに感じます。
予測できない状態で重さを変えると、スイングの動作に集中させやすくなります。
飽きさせない
幻惑法は、カラダの慣れを避ける良いメソッドです。
予測できないので、心理的にも飽きにくいです。
ケトルベルは幻惑法を取り入れやすい
ケトルベルは重りの付け替えができません。バーベル、ダンベルのようにプレートを付け替えられません。
付け替えられないことが不便な道具と捉えられがちですが、瞬時に異なる重さを手に取れます。
重さを変えてすぐにトレーニングできますので、幻惑法を取り入れやすいです。
組み合わせトレーニング
上記の動画では、スイング、クリーン、ハイプル、スナッチを連続で行う組み合わせトレーニングです。
重さを追求すると、スイング、クリーン、ハイプル、スナッチのそれぞれで扱える重さが異なります。だけど、ここでは同じ重さで行なっています。
スイング、クリーン、ハイプル、スナッチは、すべて下から上にケトルベルを引き上げるので、動作がごっちゃ混ぜになりそうな恐怖があります。
この組み合わせトレーニングでは、スイング、クリーン、ハイプル、スナッチを連続して行うことで各動作をしっかりと身に付けられる効果があります。
メニューを幻惑させる
スイング、クリーン、ハイプル、スナッチは、それぞれ別々にトレーニングすることが多いです。
サイコロでトレーニング・メニューを決めたらどうでしょうか?
とても刺激的なトレーニングメニューが出来上がります。
次に何をやるのか直前までわからないから、集中して取り組めます。
トレーニングメニューにより重さを変えることもできます。
ケトルベルはトレーニング・メニューも豊富なので、たくさんのバリエーションが考えられます。
幻惑法のエッセンス
どのようなトレーニングであっても、事前にメニューを知ると、無意識に人は準備して手を抜こうとします。
それを避けるのが幻惑法です。
サイコロを振れば事前に知ることはできませんので、心理的に準備できない状態で手抜きしにくくなります。
ケトルベル・スイングの例では、トレーニング・メニューは事前に分かっていますが、重さを知ることが出来ないので、準備(心構え)ができません。
前回と異なる重さを使うことで、動作の正確さを向上させます。
効果を得るためには、 予測させない/できないようにするのがカギです。
バウンズボールのキャッチ
ボクサーが壁で跳ね返る各種のボールをキャッチするトレーニングを見たことがありますよね?
壁にぶつけられたボールをキャッチすることは簡単です。
カラダの正面でキャッチするのも、フットワークがあれば難しいものではありません。
でも、予測不能な状態で、弾み具合が異なるボールを処理するのは神経を使います。
神経を使うことで、瞬時の判断と正確なフットワークが身につきます。
スキル・トレーニングへの展開
競技のスキルにおいても、変化を付けるのは価値があります。
バスケットボールのシューティング
バスケットボールでは、ボールに変化を付けることでスキルトレーニングに幻惑法を取り入れられます。
シューティングで、7号球の中に6号球を混ぜて行なうとシュートの成功率は下がります。
- 7号球での成功率を期待できないのは当たり前でしょうか?
- 6号球を混ぜたときに、「7号球の成功率も下がる」のはなぜでしょうか?
- ホンモノのスキルなら、多少サイズや重さが異なるボールであっても、問題なくシュートできるのではないでしょうか?
付録:ルーレット、福引き・アプリ
サイコロの代わりにスマホ・アプリを使うと便利です。無料のアプリがあります。サイコロ、ルーレット、Spin Bottleなどで検索すると使えそうなアプリが見つかるでしょう。
ここでは、いくつかのアプリケーションを紹介します。
Answer!
わたしが使用しているのはAnswer!です。Version 1.5.2 (2015/11/9)で、残念ながら現在は入手できないです。
もしもインストール済みなら、トレーニングに合いますので是非、ご利用ください。
気に入っている点は、音の演出がトレーニングに合うからです。
トレーニングに合う音がするアプリを選ぶことをオススメします。
マイルーレット
このルーレット・アプリは、確率を設定できる点が優れています。
当たる確率を整数で重み付けする設定なので、直感的でないかもしれません。
重さのギャップを強く感じる狙いで、12kgと24kgの確率を16kgと20kgよりも1.5倍にしてあります。( 3 ➗2 = 1.5)
残念ながら音の演出はありません。
マイルーレット
Yoki Higashihara無料posted withアプリーチ
ふくびき
ルーレット・アプリは、セット数を数えてくれませんので、自分で数える必要があります。
ふくびき・アプリなら、当たりくじの本数を設定しますので、セット数をカウントする必要がありません。
下記の設定例は、12kgと24kgの確率を16kgと20kgよりも2倍にしてあります。全部で30セット行う設定です。
でもね… 福引きをしている感じがないのですよ。音の演出もないし…
80年代のパソコン・アプリのようなレトロ感なんです。
ふくびき・アプリならセット数を設定できるので、スイング、クリーン、ハイプル、スナッチをそれぞれ、(10repで)10セットを設定できます。
幻惑法ライクな順序でトレーニングすることができます。
いつでも残りの当たり(残りメニューのセット数)を確認できます。
残念ながら音の演出はありません。
ふくびき
Hironori Sakata無料posted withアプリーチ
おわりに
幻惑法を紹介し、ケトルベルのトレーニングとスキル・トレーニングへの展開を説明いたしました。いかがでしたでしょうか?
幻惑法を知らなくても、自然とトレーニングに幻惑法ライクな変化を取り入れているかもしれません。
幻惑法を知っていれば、トレーニングの工夫が容易になり、集中すべきポイントが分かりやすくなると思います。